WEDGE REPORT

2021年2月15日

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 連邦議会議事堂襲撃で「反乱の扇動」に問われたトランプ前米大統領は上院の2月13日の弾劾裁判評決で無罪となった。5日間というスピード裁判で再び潔白を勝ち取った前大統領は「われわれの政治運動が始まった」と復活を宣言した。有罪投票で“造反”した共和党議員にはトランプ氏を支持する地元が猛反発。22年の中間選挙に向けて同氏の報復が早くも取り沙汰されている。

(cherrybeans/gettyimages)

ララ・トランプ氏を擁立か

 弾劾裁判でトランプ氏の有罪には上院議員の3分の2である67人の賛成が必要だ。現有議席は「民主50、共和50」と均衡状態にあるが、投票結果は賛成57、反対43。共和党から7人が“造反”し、賛成に回った。弾劾への賛成に含みを持たせていた共和党上院のトップ、マコネル院内総務は最終的に反対票を投じた。賛成した7人の顔ぶれは次の通りだ。

 リチャード・バー(南部ノースカロライナ州)、パット・ツゥーミー(東部ペンシルベニア州)、スーザン・コリンズ(東部メーン州)、ベン・サス(中西部ネブラスカ州)、ビル・カシディ(南部ルイジアナ州)、ミット・ロムニー(西部ユタ州)、リサ・マカウスキ(アラスカ州)。

 バー、ツゥーミー両議員は22年の上院選に出馬せずに引退することをすでに表明しており、再選を心配せずに思い通りの投票が可能だった。コリンズ、サス、カシディの3議員は昨年の11月の選挙で当選、6年の任期が始まったばかりで、再選対策には時間的な余裕が十分にある。このうち、コリンズ、サス両氏は元々トランプ氏に批判的でもあった。

 ロムニー議員は24年に再選期に、マカウスキ議員は22年に任期切れを迎え、再選期となるが、この2人に共通しているのは地元に固い支持層があり、トランプ氏の報復をさほど恐れる必要がないと見られている点だ。ロムニー氏は昨年のウクライナ疑惑でトランプ氏が最初の弾劾裁判に掛けられた際、共和党議員の中で唯一賛成した。

 比較的任期に余裕のあるコリンズ、サス、カシディの3人の中で、驚きをもって見られているのはカシディ氏だ。トランプ氏の影響力が強いルイジアナ州の出身にかかわらず、「共和党は1人の人物だけのものではない。トランプ氏の力は弱体化している」と述べ、前大統領へ反旗を翻した。

 下院で弾劾訴追が決議された際、賛成した共和党議員10人に対するトランプ派からの反発は激しく、そのうちの1人だった幹部のチェイニー議員(ワイオミング州)は指導部からの地位はく奪の内部動議に掛けられた上、トランプ派がすでに次の選挙で対抗馬を立てている。

 米メディアによると、今回の上院の7人に対しても同様のバッシングが起こっており、カシディ議員の地元ルイジアナ州の共和党幹部会議は評決後、同氏の弾劾賛成を全会一致で「最も強い言葉で非難する」と発表した。ネブラスカ州選出のサス議員に対しても非難決議が準備されている。

 引退するノースカロライナ州選出のバー議員の後任にはトランプ氏の次男エリック氏の妻、ララ・トランプ氏を擁立する動きも顕在化している。トランプ氏の強力な支持者であるグラム上院議員(サウスカロライナ州選出)は米テレビに対し、「ララ・トランプ氏が共和党の最有力候補」と語った。

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