拡大画像表示
新人たちの担当を決めるのは、技術管理を担当する佐藤課長たち。座学研修中での成績などをもとに電気設計、金型設計、組み立てなどの16工程のうち一人で複数工程を担当させる。各人が実務研修中だが、その中から作業時間をどのくらいとるかなどはチームの独自判断に任せている。新人たちの作業工程は、その都度、実際の所属長がOKを出さないと進めない仕組み。「ここで納期に遅れるぞ! などプレッシャーをかけます」と佐藤課長。自主性に任せながらも、時には鞭も必要のようだ。
新人たちに与えるテーマは表にあるとおり。以前はルーペや名刺入れなど原価100円だったが、昨年はLEDを使用したこともあり400円にまで高めたそうだ。ただ、会社からの指示はここまで。何を作るか、どうやって作るかは新人たちが決める。各工程でどのくらいの時間がかかるかを実際に作ってみて知ることができ、うまくいかないとき、トラブルの時に慌てずに対処することを知る。昨年は、胸ポケットにかけて手元を照らす非常用LEDライトを見事に納期通り作り終えた。LEDは海外調達だったという。
人事でも技術が語れる強み
「新人プロジェクトで学んだことが今の現場で生きています。ものづくりのプロセスを実際に知りましたし、納期に向かう厳しさも味わいました。自分のパートに責任をもつ大事さも、トラブルの対応も多くのことが凝縮されていました」と成形技術課の滝田剛史さん(2009年入社)は、新人プロジェクトを振り返る。この年の新入社員は6人。作ったのはペン&メモスタンド。社内利用率の高さで評判になっている。
同じチームだった総務部人事課の芳賀知江美さんは管理スタッフを希望して入社した。「技術研修は難しいことばかり。理解しにくいことも多かったです。スタッフ部門の希望は出していましたが、このまま技術部門かもしれないと考えていました。新人プロジェクトに携わるうち技術系に興味も出て理解度も高まりました。結果は、人事に配属されましたが、学生さんたちに技術を説明できるのは研修の成果だと思います」という。