2022年11月27日(日)

Washington Files

2021年3月8日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

州の悪しき伝統を象徴する“事件”

 この間、公共の福祉、安寧を軽視する州の悪しき伝統を象徴する“事件”も起こった。超保守派論客として知られる同州選出テッド・クルス上院議員(共和)は、寒波の最中に家族とともにヒューストンからひそかに抜け出し、避寒地として名高いメキシコ州カンクンのホテルにチェックインした。州民が生死をさまよう悲惨な状況に置かれているのをよそに外国でのんびり1週間程度暖を取る予定だった。

 ところが同議員が、出発空港ロビーで大急ぎで飛行機に乗り込むジーパン姿の一部始終が市民に目撃され、スマホ動画がインスタグラムでまたたくまに拡散、全米TVニュースで格好の話題となった。地元選挙民の怒りを恐れた同議員は結局、1夜をホテルで過ごしただけで、翌朝第1便でヒューストンに舞い戻るとともに、待ち構えた記者団を前に「軽率な行動」を謝罪した。

 同じ共和党のグレッグ・アボット州知事も、コロナ被害がピークに達した昨年夏、国家非常事態宣言下、全米でマスク着用、外出自粛が呼びかけられていたにもかかわらず、トランプ大統領を招き、マスクなしの演説集会を強行するなど“自己流政治”を貫いたことでも知られる。ところが今回、バイデン大統領が寒波大災害の陣中見舞いでヒューストンを訪問した際には、従来の激しい民主党批判は封印したまま大統領とともに「食料援助センター」を視察、停電、断水が広がったことについて手の平を返したように「電力供給を監督する規制委員会の責任を追及すべきだ」と責任転嫁のコメントを出し、失笑を買った。

さらに同知事は去る2日、他州に先んじて、「コロナ被害はピークを過ぎた」として、マスク着用、集会自粛措置の解除を一方的に宣言、その拙速な行動に対し、ホワイトハウスからも厳重注意を受けている。

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