社食に企業の想いあり

2012年10月2日

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小川たまか (おがわ・たまか)

フリーライター

1980年東京生まれ。教育、働き方、性暴力などを取材。『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』(2018年/タバブックス)。Yahoo!個人「小川たまかのたまたま生きてる」(https://news.yahoo.co.jp/byline/ogawatamaka/)などで執筆。Twitter:@ogawatam

 今年4月から月ごとにメニューを替えて給食メニューを提供していくことになったが、当初は不安もあったという。しかし、開始翌日には早速テレビ局からの取材依頼があった。ニュース番組だけではなく、民放のバラエティ番組からも問い合わせがあり、高久さんが覚えているだけで7~8番組からの取材があったという。

レシピ本も大ヒット

 『東京・足立区の給食室~毎日食べたい12栄養素バランスごはん~』を発売したアース・スター エンターテイメント(東京都渋谷区)の広報担当者に聞いたところ、「孫が家に遊びに来たとき、どんな料理を出してあげればいいかわからない」「栄養バランスが良い料理をいろいろ作ってあげたいので参考にしている」という高齢者からの声も寄せられているという。もともと区役所に足を運ぶ層には年輩客や親子連れが多く、給食メニュー人気は需要と供給の一致とも言えるかもしれない。

 給食メニューをレストランで提供する際、高久さんと塚原さんが苦労したのは価格面をいかに抑えるかだった。ピガールで提供しているメニューは450円~700円程度。区役所内にあることから価格を抑えていることもあり、給食メニューも「550円で提供してほしい」と塚原さんから要望した。

 「こういった場所で営業しているから高い価格にはできません。でも、区から補助金が出ているわけではないので、メニューには工夫が必要。安い単価のメニューを数多く売るというのが当店の営業スタイルです。レシピ本を参考に、『これを出したらよく売れるだろう』というメニューの原価計算をしてみると、全然利益がでないこともある(笑)。そういった場合、スープを味噌汁に替えさせてもらうということもしています。逆に、つくってみたら意外に見た目がさみしくなってしまったという場合は、彩りを良く見せるために野菜を増やすこともあります」(高久さん)

一般客からも職員からも大好評

取材日のメニュー。給食の素朴さを残しながら、見た目も味も確かな質を保つ (撮影:編集部)

 取材した日の給食メニューは、きのこのトマトソーススパゲティーと、リンゴがふんだんに入ったアップルサラダ、カボチャの生クリーム煮だった。太めの麺や、いちょう切りのリンゴにどこか懐かしさを感じる。

 実際にレストラン内で20歳の娘と一緒に給食メニューを食べていた女性は、「私も足立区育ちだが、当時からすると、『これが給食なの?』と感動した」と笑顔を見せた。区役所内で働くある職員も、「エリンギやしめじがふんだんに入っているトマトソースが、麺とよくからんでとてもおいしい。また、サラダもリンゴの甘酸っぱさがほどよい感じで、さっぱりとしておいしいです。毎月メニューが変わるので、楽しみにしてます」という。職員からも一般客からも大好評だ。

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