米ポートランド州立大学のブルース・ギリー准教授が、9月10日付NYT紙に、米国が一極主義の力づくで臨んだとしても、中国への効き目はなく、インドネシアなどの中規模な民主主義の国、すなわち「ミドル・パワー」に働いてもらう方が、長い目で見て米国の利益になる、とした論説を寄稿しています。
すなわち、中国の影響力が増大する中、米国は有効な戦略的対応を打ち出すのに苦労している。専門家の中には、この地域の諸国には、ワシントンと手を結ぶか、あるいは北京と手を結ぶしか選択肢はない、と考える者もいる。
しかし、南シナ海問題でインドネシアが重要なアクターとして登場したことは、同国や豪州、あるいは南アフリカといった、いわゆる「ミドルパワー」が、中国への対応を方向付ける上で非常に大きな役割を果たせることを示している。ミドルパワーは、積極的かつ中立的な外交により、米国には出来ないやり方で中国の台頭に対して影響を及ぼせるかもしれない。
インドネシアは古典的なミドルパワーだ。新たな民主国家として急速に発展しつつあり、相当の軍事力と外交能力を持っている。
南シナ海などの紛争について、ミドルパワーという選択肢を追求することは、中国にとってさほど脅威ではない友好国に外交努力を主導させることを意味する。こうしたやり方は、ワシントンに一定程度の妥協を強いるかもしれないが、北京が聞き入れるような解決策を生み出す可能性が高い。
新興の中立的で積極的なミドルパワーに望みを託す方が、米国のリーダーシップを全面的に受け入れてくれる中小国を糾合するよりも、米国の利益の促進につながるかが、ワシントンにとっての問題だ。
しかし、2つの理由が、台頭する中国に対処する中で米国が直面する多くの難問に対して、ミドルパワーという選択肢が最も効果的かもしれないことを示唆している。一つには、これらの国のほとんどは民主国家であり、従って、米国が推進しようとしている原理原則の側に立っているということだ。もう一つの理由は、ワシントンはハードパワーよりもソフトパワーを使うことによってミドルパワーの支持を勝ち取れるということだ。