バイデンは何を先に見据えているのか?
バイデン大統領は外交では、米同時多発テロ発生から20年目になる9月11日までに、アフガニスタン駐留米軍を完全撤退すると改めて主張するでしょう。バイデン氏には米国民の記憶にある「象徴的な日」を目標達成の期限に設定にする特徴があります。極めて賢明な戦略といえます。
内政でも同様です。バイデン氏は7月4日に新型コロナから「独立できる」可能性があると演説し、米国の独立記念日を日常生活に戻る日に設定しました。前述した通り、同氏にはフロイドさんの命日を「ジョージ・フロイド警察正義法」成立の日にしたい思いがあります。
アフガン駐留米軍撤退に加えて、バイデン大統領は中国新疆ウイグル自治区の人権侵害、香港における自治侵害、台湾の民主主義抑圧に関しても述べる公算は高いです。ただし、バイデン氏がその先に一体何を見据えているのかを理解する必要があります。
バイデン氏はこれまでに演説で、民主主義と独裁主義の対立や競争について繰り返し言及してきました。「独裁主義国家2021」によれば、世界には55カ国の独裁主義国が存在します。一方、「民主主義国家2021」は完全な民主主義国を23カ国リストしています。取引第一主義のドナルド・トランプ前大統領に対して、バイデン大統領はイデオロギー最優先です。
バイデン大統領は独裁主義国家の勢いを民主主義及び人権に対する脅威と捉えているフシがあります。米国が世界でリーダーシップを発揮して、民主主義国家を独裁主義国家から死守するという明確なミッション(使命)を持っていることは看過できません。
第46代米大統領として、バイデン氏は民主主義が独裁主義よりも優れている事実を証明したいのです。民主主義と人権主義国家の繁栄を最終目的に置き、内政と外交の諸問題に取り組んでいます。
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