今回のテーマは、「政権発足100日、バイデンの支持率が安定している本当の理由」です。バイデン米政権は4月下旬で発足してから100日を迎えます。
米政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティックス」による各種世論調査のバイデン大統領の平均支持率(21年4月8~13日)は54%で、不支持率の41%を13ポイントもリードしています。バイデン氏は1月20日の就任以来、50%台の支持率を維持しています。
では、その背景には何があるのでしょうか。本稿ではバイデン支持率安定の諸要因を整理します。
支持される増税
一般に日本人にはバイデン大統領といえば、おそらく「増税をする大統領」というイメージが強いでしょう。しかし、バイデン氏は年収が40万ドル(約4400万円)以下の米国民には増税をしないと公約をしています。増税対象になるのは、40万ドル以上の高額所得者のみで、この政策は米国民から支持を得ています。
世論調査で定評のある米クイニピアック大学(東部コネチカット州)の調査(2021年4月8~12日実施)によれば、年収40万ドル以上の富裕層に対する増税に関して、64%が「支持する」、31%が「支持しない」と回答しました。30ポイント以上も増税を「支持する」が上回っています。党派別にみると、91%の民主党支持者が「支持する」と答え、共和党支持者においても40%が賛成に回っています。
さらに、バイデン大統領は法人税率を21%から28%に引き上げると発表しました。この政策も米国民から支持されています。同調査では62%が支持、31%が不支持と回答しました。こちらも党派別にみますと、92%の民主党支持者、55%の無党派層、34%の共和党支持者がバイデン氏の法人税増税案を支持しています。
ジェンダー及び人種別では、法人税増税案に関する支持率が白人女性とヒスパニック系(中南米系)で67%、黒人で74%に上りました。女性と黒人、ヒスパニック系はバイデン氏の支持基盤なので、税制改革案は支持者固めに直結しているといえそうです。