格安移籍の裏側には一体どんな〝カラクリ〟があったのか?
それにしても、この格安移籍の裏側には一体どんな〝カラクリ〟があったのか。そもそもフリードマン氏は元レイズの敏腕GMである。現レイズ球団社長のマシュー・シルバーマン氏とは1976年生まれの同い年で、互いにウォール街出身という異色の経歴の持ち主同士。古くから親友の間柄でもある2人でともにレイズ(当時はタンパベイ・デビルレイズ)のフロントへ入り、MLBビジネスのキャリアを積み上げていきながら低予算でも十分な成果を出せるシステムを浸透させ、長年に渡って「MLBのお荷物」と呼ばれて低迷していた同球団を大きく変貌させた。
レイズをア・リーグ東地区の強豪へと成長させた後、フリードマン氏がドジャースからオファーを受けて〝移籍〟を果たし現職に至るが、レイズに残ったシルバーマン氏とのホットラインは今も継続。筒香の格安移籍に関しても本来ならひと悶着ありそうなところが、このフリードマン氏とシルバーマン氏の2トップ同士の話し合いによってスンナリと滞りなくまとまったというわけである。
しかしながら、必ずしも筒香に新天地で輝かしい未来が待ち受けているという保証は全くない。現在ドジャースで10人以上を数える野手の負傷者が復帰するまでに結果を出せなければ、当然のように再び40人枠から外される「DFA通告」の運命が待ち受けている。フリードマン氏は現段階であくまでも筒香を「穴埋め」として判断していることに変わりはない。適任でないとみなせばレイズのように〝大型投資〟した選手でもないことから我慢強く起用せず、即座にシビアな決断を下すはずである。
筒香には、おそらくこれがMLB生き残りのラストチャンスとなるだろう。レイズとドジャースの知られざる関係性から運良く舞い込んだ千載一遇のオファーをぜひ生かしてほしい。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。