それにしても弱い。横浜DeNAベイスターズが25日、敵地・甲子園球場で行われた阪神タイガース戦で5―7と競り負けた。これで5カード連続負け越しとなり、借金は「15」にまで膨らみ勝率も12球団唯一の1割台に沈んだままだ。今季開幕から6連敗、その後も10連敗と記録的な黒星地獄にハマり込み浮上のきっかけを見出せない。ここまで僅か4勝止まりで首位・阪神とは13ゲーム差にまで引き離され、まだ開幕1カ月とはいえ早くも絶望的な数字となっている。
今季から満を持す形でタクトを振るうことになった〝ハマの番長〟こと三浦大輔監督も、さすがに苦悩する姿が日々目立つようになってきた。フロントも判断ミスを認めて謝罪したコロナ禍に伴う外国人選手の来日遅れに関しては、すでにネフタリ・ソト内野手とタイラー・オースティン外野手、エドウィン・エスコバー投手が隔離期間を経てチームに合流。ところが頼みの綱が戦力に加わっても劇的な改善に繋がっていない。浮上の兆しは見えておらず、投打ともに歯車は大きく狂ったままだ。
「打線が爆発してこのまま上昇気流に乗っていきそうなところで、その次の試合からは貧打病にさいなまれる。投手陣も同じような状況。さらには投打が噛み合うかと思いきや、今度は失策で自滅したり…。あっちが悪ければ次はこっちと、その繰り返し。それこそ日替わりで粗が出てくる。チーム全体に典型的な負けグセがついてしまっている証拠と言えるかもしれない」と嘆き節が聞こえて来る。
確かに三浦監督にはフロントの失態による助っ人外国人の不在やエース・今永昇太投手ら主力投手陣の長期戦線離脱など気の毒な側面が多くある。だからこそ思い切って自分のカラーを出し切るような采配を見せ、期待の若手も積極的にどんどん試していってほしいと今でも思う。しかしながら、ここまでの戦いぶりを見る限り三浦監督には残念ながら「カラー」が見えてこない。負けが込み、どうしていいか分からなくなっていることもあるのだろうが、とにかく混乱やブレも目立ってベンチワークに一貫性がまるで感じられないのだ。
選手たちはかなり繊細だ。指揮官やコーチ陣が狼狽していれば、表に出ていなくても敏感に察知する。首脳陣の心の動揺や心理的不安はチームに〝伝染〟するのである。
だからなのだろう。今季のDeNAはベンチ内のムードが開幕以降、恐ろしく暗い。もともとベイスターズは明るい雰囲気が持ち味だったはずだ。周囲を固めているはずのコーチ陣は一体何をやっているのだろうか。横浜一筋でチームを長年に渡って支えてきたレジェンドを新任指揮官として三顧の礼で迎えたのであれば、このように右往左往している時こそ適切な助言やサポートができるアドバイザリー的役割を果たせる有能かつ経験豊富なスタッフを〝右腕〟として招聘しておくべきではなかったのか。個人的には、この辺りもビジョンなきフロントの編成ミスではないかと疑問を拭えない。
ここ最近、球団周辺には「ラミ采配」を懐かしむ関係者が徐々に増えている。そこから端を発しているのが、昨季までチームを率いていた前監督のアレックス・ラミレス氏の再登板を求める声だ。ラミレス前監督は2年ぶりに4位へ沈んだ昨季限りで退任。データ重視の采配と日本人にはなかなか理解し難いドラスティックな選手起用には在任当時、批判も数多く向けられたのは記憶に新しいところだろう。
それでも思い起こせばラミレス前監督の政権下では在職5シーズンのうちAクラス入りが3回、2度あったBクラスでもチームは4位で留まっている。2017年は3位からクライマックスシリーズを勝ち上がり、19年ぶりの日本シリーズへ進出。2019年は22年ぶりの2位となった。