2022年11月29日(火)

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2021年5月31日

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樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

ドイツ、イタリアも再招致を実現

 時代をさかのぼって、1916(大正5)年の第6回ベルリン大会。

 これもまた戦争、第1次大戦のために中止をよぎなくされたが、20年後の36年、ヒトラーの時代に第11回大会として開催された。第1次大戦の敗戦国としては、驚くべき早さだった。

 2次大戦前最後の大会はナチスの宣伝色が強く、世界にあらたな惨禍がもたらされることをうかがわせた。ヒトラーのユダヤ人差別に反対してボイコット運動が起き、五輪に政治がからむ最初のケースでもあった。

 戦後、ナチスの同調者と非難された女流監督、ㇾニ・リーフェンシュタールがメガホンをとった記録映画「オリンピア」はいまなお名作として全世界で上映されている。 

 1944年2月に予定されていた冬季五輪、イタリアのコルチナ・ダンペッツオ大会。やはりこの年の夏季、ロンドン大会同様、中止された。しかし、わずか7年後の1956年に開催を実現した。

 この大会のスキー回転で、猪谷千春選手が2位に入り、日本人初の冬季五輪メダリストとなったのはなお記憶されている。(中止されたオリンピックについては当サイト昨年3月24日の『東京五輪中止なら日本で3回目、稀ではなかった「呪われた大会」』参照)

中止でも遠からずチャンスの可能性

 さて、開幕が迫ってきた東京オリンピック・パラリンピック、この期に及んでも、菅首相は決行への意欲を示している。中止への意思は毛頭ないらしい。

 海外からの観客は入れないことはすでに決まっているが、来月には観客をを入れるか無観客にするかの決断を迫られる。

 プロ野球、Jリーグ同様、観客を入れて行うべきだという考え方が強まっているともいわれる。首相も5月28日、緊急事態宣言延長の記者会見で、「対応はできると思っている」と述べ、その方向で検討していることを示唆した。

 不完全な形で、国民の健康をリスクにさらしてまで開催するのが正しい決断なのか。中途半端な大会に終わっても、「1回」にカウントされれば、次の日本開催はまた半世紀は待たねばならない。

 海外メディアが筆をそろえて東京五輪開催困難という観情勢と反対論を伝える中、英紙「ロンドン・タイムズ」が今年1月、東京に2032年の大会が振り当てられる可能性があると報じた。すでに決まっている24年のパリ、28年のロスの後の直近の大会だ。真偽は不明だが、あながち否定できないだろう。

 前回と2020年東京オリンピックまでは56年が経過していた。しかし、中止となれば事情は違ってくる。チャンスは遠からず再来するだろう。

 過去の例がそれを示している。

  
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