そうこうしているうちに、相手を知るよりも、首相になりそうな先輩議員にすり寄ることが重要と思うようになる。すると、「それで大丈夫なんですか」と聞くより、相手に合わせることばかりになってくる。
結局のところ、強力な野党や批判的な勢力や敵対的な外国がなければ、有力議員に嫌な質問をする人はいない。そのような勢力があれば、ある行動を取った時に、どのような反応があり、その反応に対して何をするかを考えることが重要になってくる。
実際に反応が起きてからあたふたするより、事前に考えておいた方が良い。その時、嫌がる質問もする議員が必要になってくる。もちろん、質問するだけでは駄目で、だからどうするという代案までも提出しなければ評価されない。それでお互いの能力が分かるようになってくる。
これまでの日本は、外交・安全保障はアメリカ任せ、アジアの中で、経済で日本に挑戦する国はなかった。軍事力や外交力に転化するまでの経済力を有した国はなかった。もちろん、核兵器というむき出しの力で日本を脅かす可能性のある国はあったが、アメリカの核の傘もあり、むき出しの力を実際に行使するのは難しかった。社会党は非現実的なことを言っていただけだから、具体論で反駁する必要もなかった。
しかし、日本の経済は弱体化し、高齢化し、社会保障の負担はとてつもなく上がっていく。その中で、他国の力は上がっていく。安全保障にも力を入れていく必要がある。そのお金はどうするのか。増税するのか。社会保障を削ってでも防衛費を増やすのか。困難な問いに率直に、正直に、具体的に答え、実際の政策を形成する必要がある。
しかし、民主党、自民党、どちらの代表選でも、具体的に、予算的に、どうするかは十分に議論されていなかった。石原伸晃氏が、長老に影響されすぎているのではないかと聞かれた時、祭りでも長老にやり方を聞く。だからと言って、伝統をただ守るのではない。それと同じだと答えていた。うまく答えるものだと思ったが、同時に、日本の政治を、祭りのやり方の相談程度のことと考えているのかとも思った。
すべての国会議員の方々にお願いしたい。あなた方には国民の代表として、首相になる人がどんな人であるかをよく知って、国民のために首相を選ぶという大事な役割がある。それで大丈夫かと思われたら、有力者の機嫌を損ねることなどを恐れずに、必ず問いただしていただきたい。それが日本の将来の首相を選ぶために必要なことだと信じて。
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