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From LA

2021年6月27日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

なぜ少額納税で許されるのか?

 米国ではこうした陰謀説は後を絶たないが、ベゾズ氏が反発される理由はそれだけではない。総資産2000億ドル、とも言われ小さな国家予算なみの財産を持つベゾズ氏だが、実はその資産から計算すると考えられないほど少ない税金しか支払っていないことがこのところ立て続けに暴露されている。

 米国の非営利団体ProPublicaの調査によると、米国で大富豪として知られる4人の2014年から18年の納税額と収入の比較は驚くべきものがある。

 まず、投資会社バークシャー・ハサウェイ会長で投資の神様、と呼ばれるウォーレン・バフェット氏の場合、この4年間で増えた資産は243億ドル、本人が申告した所得額は1億2500万ドル、支払った税金は2370万ドル。資産に対する納税額比率は0.1%。

 イーロン・マスク氏の場合、増えた資産は139億ドル、本人の所得は15億ドル、所得税支払いは4億5500万ドル、実際の納税額比率は3.27%。そしてベゾズ氏の場合は増えた資産990億ドル、本人の所得は42億ドル、所得税支払いは9億7300万ドル、納税額比率は0.98%。

 米国の所得税比率は年収が7万ドルを超えると37%となる。それと比べるとこうした大金持ちが支払う税金は異常なほどに少ない。なぜこうしたことが可能か、といえば彼らの資産のほとんどが所有する企業の株であり、含み資産であること。事業経営者として事業収益の赤字分を納税の際に計上していること。これにより、例えばベゾズ氏は2007、11、18の3年、所得税を全く支払っていない。マスク氏やブルームバーグ社のマイケル・ブルームバーグ氏も同様に所得税を支払っていない年がある。

 さらにProPublicaでは2006年から18年までの間にベゾズ氏の総資産は1270億ドル増えたが、その間の税金の支払い総額は14億ドルだった、と指摘。これを一般的な米国人と比較すると、総資産は8万9000ドル増えたが、税金の総支払額は14万2000ドル。つまり増えた資産以上に税金を支払っているのだが、一般の人々が逃れられない税金を大富豪は巧みに逃れている現状が明らかにされている。

 もちろん反発を受けるのはベゾズ氏だけではなく、マスク氏やゲイツ氏も同様だ。しかしそれが宇宙旅行、という形でさらに反感を呼び、今回のようなキャンペーンが立ち上げられた、と言える。

 一方でブルー・オリジンは自社のHPですでに宇宙旅行の予約受付を開始しており、かなりの数の希望者がいる、という。この格差はどこまで行っても埋まりそうにない。

  
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