2024年4月24日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年11月23日

 ただ、台湾防衛の成否を決定付けるのは、民族的アイデンティティーよりも、既存の民主的政治社会体制よりも、結局は、抵抗が成功するかどうかの見通しです。それは、アメリカが救援に来るかどうかに全てが懸っています。アメリカが助けに来なければ、いかに台湾の人が民主主義を信じていても、空しいことになります。問題は、それが分からないことにあります。

 今後の国際政治情勢の変化如何によって、アメリカが、より強い台湾防衛のコミットメントを与える可能性はあります。しかし、現状では、アメリカ政府が台湾防衛を事前に明白にコミットすることは予想されません。考えられる最もありそうなシナリオは、中国の攻撃が明らかとなった後で、米議会が行政府に強力な圧力をかけて、行政府が参戦を決意することであり、そうなる可能性は極めて高いと思われます。

 ただ、アメリカ政府が参戦を決定するには、少なくとも、二、三日の時間はかかるでしょう。問題は、その短い期間に、台湾側が、すぐに降伏したりしないで、アメリカの参戦に期待して、抵抗し続けるかどうかです。台湾人の抵抗が一週間続けば、アメリカによる台湾救援の可能性は百%に近くなります。民主主義国家が共産党国家の侵略に対して、敢然と抵抗しているということで、アメリカの議会が動くことは、ほぼ間違いないと予想してよいでしょう。したがって、台湾防衛に際して最も重要なことは、台湾が、少なくとも一週間の継戦体制を築くことであると考えられます。

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