2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年11月12日

 9月26日付ウェブForeign Policy誌に、Andrew S. Erickson米海軍大学教授とGabriel B. Collins「China Sign Post」共同設立者は、連名で、「嵐の前の静けさ」と題する論文を掲載し、中国が空母を就役させ、これからは運用面で数々の問題に直面するだろうが、中国自身その課題は分かっているので、将来は警戒すべき海軍力となるだろう、と指摘しています。

 すなわち、中国は最初の空母を就役させたが、まだ離発着の実演をしていない。空母を運用するには、少なくとも次の四つの問題を克服する必要がある。

 第一に、空母機動部隊を編成しなければならない。米国の場合11の空母機動部隊が、それぞれ65-70機の航空機を搭載し、巡洋艦、駆逐艦、潜水艦、補給艦の艦隊に護送されている。

 第二に、それだけの艦船の運用を訓練しなければならない。予算の制約などを考えると、予想される将来に、中国がこれだけの機動部隊を編成するとは想像できない。また、ミサイルの発達により、中国近海における活動には危険が伴う。

 第三に、中国は多大の人的犠牲を覚悟しなければならない。1949年から1988年の間に、海軍と海兵隊は、12,000の航空機と8,500人の乗員を失っている。一人っ子政策の中国がその負担に耐えられるだろうか。

 第四に、対潜戦闘など現在の中国海軍の弱点を補うために最も必要な投資と、空母機動部隊の建設とが、GDPの伸びが減少する中で両立するだろうか。


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