小学校の必修科目にも
最後に、それらの集大成としての「習近平思想」となる。これが完成すれば、習近平政権は長く続けることができるだけではなく、毛沢東を越えて歴史に名を残せる。毛沢東思想も鄧小平理論も、本人が生きている間だけではなく、その後も影響力を持った。
だが毛沢東思想・鄧小平理論との本質的な違いは、この二つが毛沢東と鄧小平の頭の中で紡ぎ出され論理的一貫性を持つのに対し、現在、「習近平思想」はアイディアの寄せ集めに過ぎないという点にある。現場対応に追われ、その都度新たなアイディアを語ってきた。18の習思想研究センターの存在が、そのことを表している。
ただ、「習近平氏の思想」の普及は、研究センターの設置というシンクタンクに留まらない。この9月1日から始まった新学期では、小学校から必修科目として、「習近平氏の思想」が導入された。小学校から高校まで教本は4冊あるとされ、大学や社会人になっても中国共産党の思想教育は継続されるようだ。既に、共産党員に対して、ネットで頻繁に教育教材が送られ、回答しないと催促されると言う。
世界各地で影響力を行使している中国であるが、それは、経済のみならず、思想統制まで及ぶようになるのだろうか。中国国内の動きにも目が離せない。