ロスネフチ51パーセントとエクソンモービル49パーセントの株式持分による合弁企業であり、ロスネフチが所有する1万平方キロメートル以上を占める23ブロックでプロジェクト実施する予定。ロスネフチと子会社は、スタッフと既存のインフラストラクチャを提供し、エクソンモービルは3億ドル以上の資金、地質学の専門家、最先端の技術など、商業生産を可能にするための生産管理の手法を提供する。北米で培った経験をロシアに提供するという、大きな動きである。掘削は2013年に開始予定だ。
このような動きは企業レベルにとどまらない。ロシア政府は、年内に、オフショアやタイトオイルの石油資源を開発する企業には大幅な税控除を認める内容の法案を議会に提出する予定であるという。この税控除法案は、シェールオイルの商業レベルでの生産を可能にするために計画されているという。同法案が成立すれば、ロスネフチが享受できる利益は莫大となる。何故なら、同法によって、ロスネフチはシベリアのシェールオイル資源などの採掘が難しいタイトオイルを経済的に採掘可能のカテゴリーに変更することができるからだ。
シェールガスと北方領土問題
日本に好機をもたらすという意見もあるが…
アメリカのシェールガス革命はロシアにとってマイナス材料だといえる。だが、それによりロシアの天然ガスがだぶつくことで、ロシアはそれを日本に売りたがっているに違いないという理屈から、この現実を「北方領土交渉」における好機だとする報道もあった(たとえば、2012年1月4日『読売新聞』朝刊)。
しかし、筆者はそのような議論はあまりに楽観的だと思い、同意できない。それでも、シェールガス革命やロシアのエネルギー事情などを、日本が外交政策を考える上で十分考慮していく必要があることは間違いない。
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