2022年7月6日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年9月27日

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 最近、台湾周辺海域において中国の多数の軍用機が周回したり、米中双方の空母がほぼ同時期に軍事演習を行ったりして、米・中・台湾の軍事的緊張はあきらかに高まりつつある。中国は「一つの中国」の原則に基づいて、外交、経済、軍事各方面で台湾を威嚇・併呑しようと腐心している。習近平は、過去一年間に数回も「戦闘準備をおさおさ怠るな」とPLAに対し檄をとばしたという。

90年代にもあった〝台湾危機〟

 振り返ってみれば、1996年、台湾が独自の総統選挙を行った際(その結果、李登輝が総統に選出された)、江沢民下の中国は台湾北部と南部の海域にミサイルを発射して、台湾を威嚇したことがある。これに対し、クリントン政権下の米国は台湾海峡に空母二隻を派遣し、これを阻止した。いわゆる「台湾海峡の危機」である。

 中国はその時は米国との大きな軍事力格差に直面し、為すすべなく後退した。しかし、その後の25年間で中国の軍事力増大は目を見張るものがあり、今日の状況に至っていることはTaipei Timesの指摘するところだ。

 台湾に対するPLAの軍事侵攻が如何なる形をとるものであろうと、日本にとって、「台湾有事」は決して他人事ではない。仮にもし将来、台湾周辺海域や台湾において、軍事的に「有事」が発生し、米軍(在日駐留米軍)が台湾防衛のために出動するという事態が起これば、日本としては安保関連法を踏まえ、米軍支援のために自衛隊を出動させるという事態を迎えることになると考えられる。

 それは、今年4月の「台湾海峡の平和と安定の重要性」をうたった日米首脳会談の共同声明や6月の英国コーンウォールでの「G7サミット」の共同声明の趣旨に副うものでもあろう。

 また、「台湾有事」の場合、台湾在住の駐在員やその家族等邦人の退避はどうするのか。8月のアフガニスタンの教訓からも学び、必要な法整備や訓練等、平時からあらゆる想定に対処できる体制を整えておくべきだろう。

  
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