2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年9月29日

文在寅政権が構想した東京五輪、北京冬季五輪を通じる南北外交攻勢は、北の東京五輪不参加やIOCによる北朝鮮IOCの資格停止処分決定などにより頓挫した。今や北は北京冬季五輪へ公式代表団さえ派遣できない。

 IOCの決定は東京五輪への無断不参加が原因のようだが、北はIOCから得る支援金も貰えなくなる。また韓国が推進していた2032年五輪の南北共同開催(18年9月南北首脳宣言で合意)構想についても、ブリスベンでの開催に決まってしまった。

自重から起きた北朝鮮のミサイル発射実験

 北朝鮮は9月9日、建国記念軍事パレードを行った。目立った新兵器の披露もなく、また金正恩の演説もなく、抑制されたものだった。

 ここ暫く北は、対米関係を含め総じて自重、軍事挑発は控えて来た。国内のパンデミックや経済的困窮が響いているのかもしれない(食料、燃料不足が伝えられる)。また、来年3月の韓国大統領選挙での左派政権の勝利を後押しすることが北の利益となるとして自重しているのかもしれない。

 しかし13日朝鮮中央通信は、今月11日と12日に北は新型長距離巡航ミサイルの発射実験に成功したと伝えた。安保理決議は弾道ミサイルの発射を禁止するが、巡航ミサイルはその対象にはなっていない。その隙間を狙う意図があるのかも知れない。

 さらに、北は、9月15日には弾道ミサイルも日本海に向けて発射した。バイデン政権の出方を見るつもりなのかもしれない。なお、9日の軍事パレードに現れた金正恩は別人のようにスリムになっていたこと、また金与正や金善権(外相)がTV報道などに映っていないことが注目されている。

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