8月27日IAEAは、北朝鮮が寧辺にある原子炉を再稼働させている兆候があるとの報告書を理事会と総会に提出した。ウラン濃縮施設がある平壌近郊の「カンソン」についても建設活動等が続いているとしている。報告書はこれらの活動は、安保理の決議に反するもので、「深刻な問題」だと述べている。9月13日に始まったIAEA理事会、その後の総会で議論されるだろう。
こうした動きを背景に9月7日開催された韓国国会の外交・統一委で、崔鐘建(外交部第一次官)が、寧辺の再稼働はこれまでの南北合意等の違反になるものではないと答弁した。崔鐘建は、延世大教授出身で、20年8月青瓦台平和企画官から外交部第一次官に転任した人物で、一貫して北朝鮮に融和的な立場を維持してきたといわれる。この答弁には、南北合意の規定などに照らしてもおかしいとする強い批判が韓国内にもある(9月8日付け中央日報社説など)。
文在寅政権と与党は、一貫して対北融和姿勢を維持、北が如何なる無茶なことをしても北の擁護とそれへの配慮姿勢を変えていない。それを受けて北の金与正(党宣伝扇動副部長)や金英哲(党統一戦線部長)等は韓国に対して益々高圧的になっている。
7月下旬、南北の間で通信連絡が13カ月ぶりに回復され、文在寅政権は文在寅の対金正恩書簡外交が功を奏したと大々的に宣伝したが、それも束の間、北は8月10日から通信連絡への応答を拒んだ。通信連絡復旧が米韓合同演習の中止のための材料に使われたとしか思えない。
北はしたたかである。韓国の主張により8月の米韓合同演習は縮小された。米側関係者等は不満だった。演習は、即応体制の訓練、維持にとり不可欠であり、不満は当然であろう。
文在寅政権の対北融和政策は、来年5月の政権末まで変わらないだろう。