2022年11月29日(火)

オトナの教養 週末の一冊

2021年10月20日

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日本企業の『クローズド・カルチャー』

「日本企業では、独自の経営技術をコンセプト化、一般化をしてこなかったことがその原因です。そもそも、日本企業には『クローズド・カルチャー』があります。『秘伝』『門外不出』など、模倣困難性を高めようする意識が高いと言えます」

 ただ、「門外不出」というようなことを続けていると弊害も出てくる。例えば、日本企業が海外工場に経営技術を移転する場合、それば一般化、言語化されていなければ、容易に理解することはできない。このあたり、文化と言ってしまえばそれまでだが、異なる言語、民族が集うアメリカでは、一般化することで、より多くの人に理解してもらうという作業が歴史的に行われてきたと言える。

 コロナ禍でも実感できたように、遠くにいる人とコミュニケーションをとって仕事をすることが可能となった中では、一般化、言語化がますます重要になってくる。それは間違いないのであるが、むしろその逆、つまり「日本式」では当たり前の組織形態にも注目が集まっていることを本書では紹介している。

 「ティール組織」だ。これは「組織がまるで生命体や自己組織系のように、人が集まって目的を達成して分散する。そして、その前提として組織の構成員によるセルフマネジメント(自己決定・自己管理)がおこなわれ、組織の構成員は仕事だけのつきあいではなく人間として全体が組織として受け入れられ、さらに組織はビジョンを進化させる」

 要するに、「ジョブ型」と呼ばれるように、自分に与えられた役割を果たすだけではなく、一人ひとりが、組織全体のために動くということだ。これは、日本の「メンバーシップ型」に近い。このところ、「日本でも『ジョブ型』に移行すべきだ」という論調が目立つが、むしろ海外では逆にメンバーシップ型が注目されているのだ。

 岩尾さんは、なんと平成元年生まれ。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われた絶頂の時代を知らない世代だ。だからこそ、単純に「過去の栄光」や「過去の成功体験」といったことにノスタルジーを持つのではなく、「良い、悪い」を冷静に分析することができているのだろう。

「日本は、日本の経営技術を信じる力で負けているのである」と、岩尾さんは語りかける。本書を読めば、いま一度、日本を信じようという気持ちにさせてくれることは間違いない。

  
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