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2021年10月13日

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島澤 諭 (しまさわ・まなぶ)

中部圏社会経済研究所研究部長

富山県生まれ。1994年東京大学経済学部卒業 同年4月経済企画庁入庁。調査局内国調査第一課、総合計画局計量班、調査局国際経済第一課等を経て2001年内閣府退官。02年秋田経済法科大学経済学部専任講師、04年10月秋田大学教育文化学部准教授。2015年4月から現職。

 こう考えるならば、投票権を行使しても、棄権しても、結果からは逃れられないのだから、若者にとっては、投票とはどうあがいても負ける選択肢しかない不公平な「ゲーム」に違いない。

投票による政治参加を強調し過ぎるニッポン

 実は、政治に影響を与える手段としては、投票以外にも様々な手段があるにもかかわらず、団塊の世代が熱中した学生運動の反動からか、なぜか日本では投票が強調されすぎるきらいがある。

 確かに、投票が政治参加の重要で主要な手段であることを否定するつもりは毛頭ないが、本来「政治参加」とは、オリンピックとは違って、数年に一度の選挙期間だけに限られるものではなく、その時々の社会的な課題に応じて行われるべきものだ。つまり、解決が急を要する重大な課題であればあるほど、選挙を待っていられないはずなのだ。

 内閣府「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査 (平成30年度)」によると、「あなたは、今の自国の政治にどのくらい関心がありますか(政治参加意欲)」「社会をよりよくするため、私は社会における問題の解決に関与したい」「将来の国や地域の担い手として積極的に政策決定に参加したい」「私の参加により、変えてほしい社会現象が少し変えられるかもしれない(政治的有効性感覚)」と答えた日本の若者(満 13 歳から満 29 歳までの)は、調査対象の7か国中(日本、韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデン)最下位となっている。投票以外も若者の政治参加は低調だ。

 図3は、政治参加意欲と政治的有効性感覚の間の関係を見たものだ。同図から、政治的有効性感覚が低いほど政治参加意欲も低くなる傾向にあることが分かる。つまり、若者に政治参加を促せたいのなら、「自分たちが政治に働きかければ、政治がしっかり自分たちの声を受け止め、動いてくれる」という成功体験を持たせることが必要であり、そうした機会を増やしていくことだ。

 では、投票以外に政治参加に有効で、若者に成功体験を与えてくれる方法はあるのだろうか。

SNSを活用したロビー活動で政治を動かす

 政治家を動かすためには、若者の抗議の意思を「見える化」して政治家に伝えなければならない。そのための方法の一つとして、ロビー活動がある。

 ロビー活動といえば、どうしても悪いイメージが伴うが、政治家へのロビー活動は、SNSを利用する政治家も増えたことで、以前よりはハードルが格段に下がっている。16年の流行語にも選ばれた「保育園落ちた日本死ね!!!」を契機に、待機児童問題が国会などでクローズアップされ、国も重い腰を上げることになったのが記憶に新しいところだろう。

 この成功体験は実は大きな意味を持っていて、「奨学金返済貧困」「生理の貧困」など、最近、若者は続々と意見を発信し、政治もそれに応えることも多くなっている。政治家は、普段接することのない若者の意見がまとまって「見える化」されれば動くという証拠だ。

 現在の日本の経済や社会の仕組みが、いかに若者世代にとって不公平であるか、その現状を、SNSを使って積極的に情報発信するのが有効だろう。

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