〝植民地型〟の
発電事業システム
地元にしてみれば、事業主体が見えないと困る。
「反対の声を役所は拾ってくれない。再生エネの促進は政府の音頭だからって……」
風光明媚なその場所が好きで移り住んできた人たちは、苦情の持って行き場がない。相手が外国だと簡単には連絡がつかない。
そもそも地元にとっての益は少ない。
中国製のソーラーパネルが並ぶだけで雇用効果はなく、売電利益も本社の所在地にしか落ちない。自治体に入るのは固定資産税だけだが、これも所有者不明になると不透明だ。①転売による所有者不明と、②パネル破損による鉛、セレン、カドミウムなどの流出も心配だ。
そうした不都合が起こったとき、自治体は外資系企業や投資家集団と交渉することになるが、うまくいくだろうか。トラブルは即、訴訟だろう。買い上げ期間満了後の事業者責任が曖昧になっていないか。
おまけに、かかり増し分を負担するのは国民になる。いつの間にか高い電気代を払わされている。筆者も毎月、2段書きで送られてくる請求書の下段を見るたび溜息をつく。上乗せされた「再エネ促進賦課金」は年間1万476円(21年度一世帯あたり)。日本全体で2兆7000億円に上る。これからも、ずっと国民の負担として吸い取られていく。
上乗せ分の還流先が海外という構図は、国土から生まれる産業サービスの果実(利益)が国外化していることになる。ソーラー発電事業のシステムが「植民地型」だと言われる所以だ。
安全保障上の要衝に
ソーラーパネルが……
日本のソーラー導入量は現在、国土の単位面積当たりで主要国中、世界一になった。
全国の総発電量6.8万㍋ワット(設備認定量:21年3月末)から逆算すると、外資系ソーラー事業者に占有されている国土は、約6万㌶(外資比率3~4割と仮定)。JR山手線の内側面積のほぼ10倍にまで増えた。当然、それらの中には、防衛上の要衝も含まれる。
昨年10月、政府関係機関から内閣府を通じ、次の情報が首相官邸に報告されたという。「再生可能エネルギー発電事業者として中国系資本が何らかの形で買収に関与したとみられる土地が全国に約1700カ所に上ることが判明。この中には防衛施設周辺などの安全保障上重要な土地も含まれ(る)」(産経新聞、20年11月8日)。
本稿の冒頭、山口県下のメガソーラー群についていえば、そのサイトは、すぐ前海が船舶通航上のチョークポイントで、上空は米海兵隊岩国航空基地と沖縄県嘉手納空軍基地を結ぶ航路に当たる。そういった地点にソーラーが設置されているのである。いわば重要国土が、外資系や実態がよく見えない者たちによって占有され、利用されている。