ガソリン価格の上昇が止まらない。石油情報センターによると、10月18日時点のレギュラーガソリンの全国平均小売り価格は7週連続で値上がりし、1リットルあたり164円60銭だった。エリアによっては170円を超え、ハイオクに至っては180円を突破しているところもある。2014年10月以来、7年ぶりの高水準となる(図1A)。
ガソリン価格上昇の原因は、当然のことながら原油価格の上昇である。原油のベンチマーク価格であるWTIは、10月20日の時点で1バレルあたり82ドルを超え、こちらも同じく14年10月以来となった(図1B)。
ただし、当時と現在で異なる点が二つある。それは、消費税率と為替である。
消費税率は19年10月より8%から10%になった。また、当時の為替は約108円/ドルで、現在は約114円/ドルの水準である(図1C)。もし税率と為替が当時のままだとして計算すると158円/Lとなり、つまり実際の価格との差である6円が増税と為替の効果ということになる。
特に為替は昨年末の103円を底に円安基調が続いていて、この1カ月で109円から114円の急激な円安となった(図1Cの右端)。現在のガソリン価格高騰は、原油高の影響が最も大きいが、増税と円安がなければここまでの上昇とはならなかった。
過去のツケがまわってきている状態
原油価格が高騰しているというが、昔の水準に戻りつつあると言うこともできる。読者の方はもう忘れてしまったかも知れないが、14年の10月というのは原油価格が急落する真っ只中であり、11年の2月から14年の7月までのおよそ3年半の間、原油価格はおよそ100ドル/バレルという高水準で推移していた(図1B)。
つまり、7年とちょっと前は現在よりも原油価格は高かった。この間、ガソリン価格が140~150円台と現在ほど高くなかったのは、当時の為替が80円/ドル台と超円高だったからだ(図1C)。
それでは、ガソリン価格は今後どうなるだろうか。