2024年4月20日(土)

田部康喜のTV読本

2021年10月29日

 達雄が死んだことから、実の母の真田梓(薬師丸ひろ子)が、梨央を引き取ることになった。白川郷の旧家から、東京の豪邸に引っ越して、志望がかなった大学の薬学部に通うことになる。

 一方、白山大学陸上部では、部員が大麻をやっていたことが警察沙汰となって、梨央の恋人である、宮崎(松下)はとばっちりをくって、就職の内定を取消された。大麻を寮に持ち込んだのは、OBの大学院生である、渡辺康介(朝井大智)。しかし、彼は行方不明となる。父親の昭(酒向芳)は息子の行方を懸命に追う。

 あの夜、なにが起こったのかを梨央が知るのは、白川郷に帰省したときだった。弟の優がなくしたといっていた、自分の携帯電話が父親の達雄の遺品のなかから出てきたという。

 「怖くて、ひとりでは見られん。見たら消しておいてな」と、優はいって部屋の外に出る。ガラケイの小さな画面に映し出された映像は、行方不明になっている渡辺が、梨央の足首をつかんでひきずっていこうとしている場面だった。「明日になったら忘れる」と、渡辺はつぶやいていた。

 優が渡辺を止めようとして、細長い金属製の棒で彼を刺す場面が続く。渡辺は血まみれになりながら、天井向きになっていた梨央の上に倒れ込む。

 この5年後、優は失踪する。

社長と刑事で2人は〝再開〟

 2021年、事態は突然動いた。行方不明になっていた、渡辺が地元で白骨死体となって、発見されたのだった。しかも、骨に刺し傷の痕跡があった。

 梨央の恋人だった、宮崎は、警視庁捜査一課の刑事になっていた。渡辺の死体発見とほぼ重なるようにして、父親の昭が東京で殺されて発見された。警視庁が、昭の足取りを追う中で、真田ホールディングスの傘下の真田ウェルネスの社長となった、梨央のもとを昭が訪れて、食い下がる映像が、社内の防犯カメラから見つかった。

 宮崎と相棒の所轄署の桑田仁美(佐久間由衣)が、梨央を会社の入口で待ち構える。「警視庁の宮崎です」と名乗る彼に、梨央は「真田梨央です。はじめまして」という。梨央は所轄署で任意の事情聴取に応じた。

 宮崎は、一片の紙を示す。白骨死体で見つかった父で、殺された昭の発見現場に落ちていたものだ。それは、梨央がかつて、陸上部員のためにお守りを作ったときに、なかにいれた「必勝祈願」の文字が書かれていた。

宮崎 あなたは、これを知っていますか?

梨央 刑事さんは、知っていますか?

宮崎 わたしが質問しているんです。

 深夜、梨央の家の近くで、宮崎は待ち構えている。

宮崎 ほんとうのことが知りたい。秘密は守る。友人として聞きたい。

 梨央は心のなかでつぶやく。「昔は家族の秘密を守るのが怖かった。あのころの私とは違う」。そして、宮崎にこう告げる。

 「何から話します?」

 そのころ、捜査本部では、殺された昭が見つかった現場付近の監視カメラが、梨央の姿をとらえていることがわかる。

   
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