田部康喜のTV読本

2021年8月25日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 NHK「フェイク・バスターズ 新型コロナウイルスと誤情報」(8月10日)は、新型コロナウイルスの感染拡大に対する最大の武器である、ワクチン接種を阻む要因をさまざまな角度から光を当てて浮き彫りにした。国内外の医師で構成するチームが正しい情報の発信によって対抗する、献身的な姿も描いた。

(Olha Khorimarko/gettyimages)

 評論家の宇野常寛さんを司会者として、フェイクニュースに詳しいジャーナリストの古田大輔さん、医療情報を発信している外科医の山本健人さんらをコメンテーターに迎えた。

 外科医の山本さんはいう。「ネットで情報を収集する習慣があるのであれば、『フィルター・バブル』の危険性を知ったほうがよい」。

 「フィルター・バブル(filter bubble)」とは、SNSによって同じアカウントばかりフォローしたり、検索サイトで興味のある検索結果ばかりを読んでいたりすると、偏った情報に取り囲まれることをいう。まるで泡(バブル)の中にいるように、自分が見たい情報しか見えなくなってしまう状態である。

 番組では、夫のジュンと妻のユカリ(いずれも仮名)の間で起きた、コロナの誤情報にとらわれた妻を夫がいかにして、正しい情報に引き戻すかがコミックタッチの絵とセリフで描かれた。

 妻・ユカリ コロナワクチンは絶対に打たないでね。死ぬかもしれない。SNSでみんながいっている。

 夫のジュンは、ユカリのSNSや交流サイトのタイムラインを見た。そこには誤情報があふれていた。

 「コロナワクチンを打つと死にます」

 「ウソばかりつく政治とメディア」

 「ワクチン接種者が周囲に病気をまき散らす」

 夫のジュンは次のように語る。

 「とんでもないことを言っている人が妻のまわりにいっぱいいた。(妻は)それに対してフォローしていたばかりではなく、『いいね』をつけているのを見て衝撃でした」と。

 ワクチンに関する誤情報のなかで、最も拡散したのは「ワクチンと不妊」だろう。政府や専門家が否定しても広がっていった。

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