世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年11月22日

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 2050年におけるカーボン・ニュートラルを目指す電源構成では、原子力の部分をより大きくすることは今後の小型原子炉の技術開発状況によっては十分可能であると考えられる。

原発事故と気候変動による災害どちらが危険か

 福島の原発事故は原発への逆風を強めたが、カーボン・ニュートラルを実現するためには、二酸化炭素をほとんど排出しない原子力発電を増やすのが最も有効なやり方であるというこの論説の趣旨には賛成できる。二酸化炭素排出削減と電力需要を両立させるためには、原子力発電が最も有効性が高いことを、この論説の数字は示している。原発反対論は根強いが、感情的な議論である面が強く、これは克服していくべきであろう。

 米国を含む各国での技術開発状況については、敏感になって情報収集を行っていくべきであろう。米海軍が50年以上問題なく船上核反応炉を使ってきたことは十分留意すべきことであると思われる。

 地球規模での気候変動が森林火災や台風の強大化などで人類の生存にもたらす危険と、原子力発電事故への恐怖は冷静に比較衡量すべきであり、発電をより多く原子力に頼る方が地球温暖化を許容する結果となるよりもずっといいように思われる。

 再生可能エネルギーがもてはやされているが、上記論説も指摘する通り、実のところは大きな環境負荷をもたらす。昨今の議論ではこの点にほとんど目を向けていないように思われる。なお、再生可能エネルギーでは太陽光発電が一番安いということであるが、このための敷地の確保は森林法上の規制もあり、日本ではそう簡単ではない。

 なお、最近、フランスのマクロン大統領は、エネルギー安全保障と脱炭素には原発が必要であるとして、同国内における原発の建設を再開することを表明している。

  
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