2022年9月28日(水)

World Energy Watch

2021年11月2日

»著者プロフィール
著者
閉じる

山本隆三 (やまもと・りゅうぞう)

常葉大学名誉教授

NPO法人国際環境経済研究所所長。住友商事地球環境部長などを経て現職。経済産業省産業構造審議会臨時委員などを歴任。著書に『電力不足が招く成長の限界』(エネルギーフォーラム社)など多数。

 国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が10月31日、英グラスゴーで開幕した。

 そうした中、欧州では、天然ガス価格と電気料金上昇が引き起こした「エネルギー危機」が収まる気配はない。筆者は前回の本稿「欧州で急騰する電気料金 日本も『明日は我が身』か?」でも指摘したが、今後欧州のエネルギー危機の日本への飛び火は避けられないように思える。

(y-studio/gettyimages)

 これから欧州の多くの地域でも暖房が必要な時期を迎えるが、英国の家庭の85%が暖房に天然ガスを利用しているように、欧州諸国の多くの家庭は天然ガスを暖房に使用している。天然ガス価格の上昇は、東中欧諸国に多いエネルギー貧困と呼ばれる人たちに、暖房費を削るか、食事を我慢するかの選択を迫ることになる。

 10月21日、22日に開催された、メルケル独首相にとって最後の欧州連合(EU)首脳会議では、喫緊の課題としてエネルギー問題が議論された。EU加盟国のエネルギー事情が大きく異なる中で解決のための具体策合意には至らなかったが、東欧諸国からの強い要請もあり、電気料金値上げの原因の一つとなった二酸化炭素(CO2)の排出量市場などの再評価を行うことが決まった。

エネルギー危機が暴いた天然ガスと原子力の必要性

 欧州での天然ガス価格急騰は続いている。昨年5月100万BTU(英国発熱量単位)当たり1.58ドルだった天然ガス価格は、今年9月には22.84ドルに達した(図-1)。

新着記事

»もっと見る