こうした新しい取り組みには財政的裏付けが乏しいことが少なくない。このため、三芳町社協では、資金調達に向けた体制強化を行っていた。新しい取り組みが次々と生まれることで、市民から支持され、寄付金が集まり、好循環のサイクルをもっていたことが、コロナ禍という危機下で真価を発揮したのである。新型コロナ基金緊急支援募金にも多くの人が反応してくれた。
「あったか食事パック」に隠された秘密
ここで、再び冒頭の写真に話題を戻そう。「この写真には、特例貸付に足りなかったものが写っている」と書いた。改めて、あったか食事パックの商品をみると、何か気づくことはないだろうか。
「埼玉産彩のかがやき」「神田カレーグランプリ」「青の洞窟」「鹿児島黒豚めし」「充実野菜」――。あったか食事パックに選ばれているのは、見切り品やスーパーのプライベートブランドのような格安食品ではない。レトルト食品とはいっても、有名ブランドの看板商品がセレクトされている。
なぜ、コストのかかる高級品を選ぶのか。この事業を企画した古賀さんは、着想のヒントとなったある少年との出会いを話してくれた。
特例貸付の最終回となる次回では、古賀さんが語った少年とのエピソードを通じて、未来を拓く貧困対策について考えてみたい。