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Wedge REPORT

2013年1月21日

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 テクニカルなので解説する。まず32円で売電できるのは、森林法に基づく森林経営計画(森林の長期管理計画)が定められた山林から伐出された木材を燃料とした場合に限られる(未利用材バイオマス)。それ以外の木材は、製材工場の残材などと一括りに一般バイオマスと分類され売電価格は24円に下がる。リサイクル廃材はさらに下がって13円だ。

木材伐出の様子。このようにして材として市場に供給される材木は少ない。間伐で出る木材の大半は山林に放置されている (撮影:編集部)

 グリーン発電会津は、未利用材チップに一般材チップも混ぜて使う。一般材は24円でしか売電できないからチップには7500円しか払えない。しかも12000円や7500円というのは、乾燥させた水分率40%ベースの単価であり、水分率50~55%の原木ベースではもっと価格が下がる、という説明なのだ。

 いくつか疑義が残る。まず林業関係者の間で「会津は未利用材100%」との認識は一般的だ。補助金申請の段階では未利用材専焼と明記している。滝澤氏はその段階では未利用材、一般材の区分がなかったと反論するが、9月実績でリサイクル廃材チップを約2割混ぜたと言う。これは専焼ではなく混焼だ。

 もっと問題なのは、未利用材10500円なら、山側に還元できるのは7500円のはずだ(チップ加工・運搬費合わせて3000円と説明)。前述のようにノーリンが山側に示したのは5000円。差額2500円はどうなったのか。

 両氏は、まだ発電が始まったばかりで事業リスクがあるからだと説明する。「数年後には価格を引き上げる」と言うが、この事業は32円という高い売電価格を20年間も保証されて、さらに9・5億円の補助金も受けているビジネスだ。

 齋藤氏によれば、県は環境税を原資に、グリーン発電会津向けの未利用材に1700円/トンの流通補助を出す。市も1500円/トンの補助を検討している。ただし予算の上限があり年6万トンにははるかに満たないため、「引き上げを要望している」と言う。

 これはおかしい。後篇で詳しく説明するように、FITには全てのコストが織り込まれている。会津の未利用材には、FIT、設備補助金、流通補助、間伐補助の4つの補助金が重複している。

 根本的な問題もある。売電価格32円、24円、13円の3種類のチップは分別管理、監視できるのだろうか。林野庁は32円、24円のチップは伐出段階から証明書をつけるのでトレーサビリティが確保されていると説明する。しかしノーリンは、認証のないリサイクルチップも大量に扱う。「認証業者になり、森林経営計画を立てた山林を広くもっていれば、一般材を未利用材に混ぜることもできなくはない」との声もある。

 「未利用材バイオマスは化石燃料と違い燃料費が山に還る」(末松広行林政部長)。それを担保するには流通過程への厳密な監視が必要だ。過去のバイオマス政策は総務省がこう断罪している。「バイオマスニッポン6・5兆円効果ゼロ」。電気料金へのツケ回しは許されない。

※後篇はこちら

◆WEDGE2012年12月号より

 

 

 

 

 

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