2022年9月28日(水)

中国はいま某国で

2013年2月4日

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谷口智彦 (たにぐち・ともひこ)

慶應義塾大学大学院SDM研究科教授(前内閣官房参与)

2013年1月から安倍晋三首相退任まで、同首相の外交政策演説を起案。2005〜08年、外務省外務副報道官。先立つ約20年『日経ビジネス』記者。元ロンドン外国プレス協会会長。東京大学法学部卒。1957年、香川県生まれ。

 現実にはアフリカ各地の港から出てインド洋、大西洋で漁撈するのが効率的だから、アフリカの食卓を本来潤すべき資源のだとして環境団体、沿岸国の批判を招くこととなる。

 本欄はフィジーやヤップ島、カリブ海で中国が存在感を増しつつあることを伝えてきた。同盟国を持たない中国は海洋防衛を独自で図らなくてはならない。それが中国海軍力増強の動因であろうと推察してきたが、中国とは世界至る所に中国人を移出し、漁撈の可能性を求める商業的膨張を続ける国だ。後を追うように、海軍力を伸ばさざるを得ない宿命にある。海洋各国との摩擦も今後頻発せざるを得ないだろう。

 インド洋の島国モルディブへ寄せる中国の関心も、以上の経緯とあながち無縁ではないかもしれない。

インド洋のモルディブ
北京への傾斜に拍車か

 本欄は11年6月号の誌面で既にその一端を報じた。モルディブ訪問客の国別内訳で中国が首位になり、北京は同国外務省庁舎を建ててやるなど政治的関与を強めつつあることを伝えた。

 昨年12月、インドとモルディブで一悶着が起きた。モルディブ政府がGMRというインド企業(とマレーシア企業の合弁事業体)に委ねてきた国際空港の運営整備契約を、一方的に打ち切ると表明したからだ。

 契約金額は5億ドルという相当額に上る。モルディブ国内の政治力学が絡んでいるようだが、インドの朝野はまたしても中国の影響を疑っている。

 インドにとってモルディブを「取る」か「失う」かは、インドの安全保障全体に関わる。長年軍事面でテコ入れしてきたインドを尻目にするかのように、モルディブからは国防相が北京を訪れ、中国との軍事関係強化を約束した。空港を巡る紛争のさ中のことだ。

[連載]中国はいま某国で

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