2024年6月19日(水)

Wedge OPINION

2022年1月21日

 もう一つは、東京大学の助手になってからの経験だ。私は、英国の総合科学誌『Nature』で1986年、海の誕生を解明した「水惑星の理論」を発表したが、その後、旧ソ連で講演した時のことである。拙い英語での講演だったが、聴衆は熱心に私の話に耳を傾け、終了後、米国人ポスドクらが「感動した」と称賛してくれたのである。しかも、その後の質疑は数時間にもわたって続いた。

 彼らが「感動した」のは私の英語力ではない。講演した「中身」そのものである。私はその時、「どんなに英語が拙くても、内容がしっかりしていれば、外国人であろうと必死になって聞く。流暢に英語を話すかどうかは関係がない」ということを実感したものだ。

伝えたい「中身」を考える言語は日本語

 今でも米国に行けば当然、英語で話すが、せいぜい、日本語で表現する水準の3割程度でしか話せていないであろう。それでも、「この人の主張は聞くに値する」と相手が思えば、聞いてくれるものだ。これは、日本人同士の会話でもまったく同じである。

 また、……

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Wedge 2022年1月号より
破裂寸前の国家財政 それでもバラマキ続けるのか
破裂寸前の国家財政 それでもバラマキ続けるのか

日本の借金膨張が止まらない。世界一の「債務大国」であるにもかかわらず、新型コロナ対策を理由にした国債発行、予算増額はとどまるところを知らない。だが、際限なく天から降ってくるお金は、日本企業や国民一人ひとりが本来持つ自立の精神を奪い、思考停止へと誘(いざな)う。このまま突き進めば、将来どのような危機が起こりうるのか。その未来を避ける方策とは。“打ち出の小槌”など、現実の世界には存在しない。


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