2022年10月5日(水)

Wedge OPINION

2022年1月21日

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松井孝典 (まつい・たかふみ)

千葉工業大学学長・理学博士

1946年生まれ。東京大学理学部卒、同大学院博士課程修了。東京大学大学院新領域創成科学研究科教授などを経て現職。東京大学名誉教授。専門は惑星物理学、文明論。86年、国際的な英・総合科学誌『Nature』に海の誕生を解明した「水惑星の理論」を発表した。『宇宙誌』(講談社学術文庫)など著書多数。

「Wedge」2022年1月号に掲載され、好評を博したオピニオン「国際化の時代 真に必要なのは英語力より国語力」の内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。
日本には「日本語」をはじめとした堅固な文化がある (TETRA IMAGES/GETTYIMAGES)

 英語教育の早期化が進んでいる。小学校では2011年度から5・6年生を対象に「外国語(英語)活動」が必修化されたばかりだったが、20年度からは3・4年生に早まった。

 私は、英語教育自体を否定するつもりはない。だが、「幼い頃より英語教育をすれば、グローバルな人材が育つ」かのような安易な考えが根底にあるように思えてならない。

 日本の英語教育は総じて、外国人とスムーズに会話できるようなスキルを身につけることに重きを置いている。しかし、会話以前に、どのような「中身」を伝えるかが重要である。国際社会における日本の立ち位置は今後、ますます複雑なものになるだろう。だからこそ私は、英語教育よりも国語教育が重要であると確信しており、この考えは決して揺らぐことはない。

 なぜそう言えるのか。その背景には忘れもしない二つの実体験がある。

 一つは学生時代、世界を見てみたい一心で、半年かけてユーラシア大陸を横断する自動車旅行をした時のことだ。当時大学で選択した第二外国語はロシア語だったが、旧ソ連を旅行中、現地の人に日本語で考えた自分の考えがロシア語でも通じたことはとても新鮮であり、その時の高揚した気分は今でも忘れることができない。同時に、語学を学ぶ重要性を身をもって感じたとともに、スムーズな会話よりも、自分の考えや思いを伝える「中身」が重要であることを痛感した。

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