中国の太平洋進出は、大きな戦略に基づいている。厄介なことにそれは、経済機会を欠く島嶼国の自己利益に合致する。問題なのは、中国は単なる経済を超えて、軍事的、外交的影響力(軍事使用の港湾建設や台湾圧縮等)に転化することを止めず、地域を不安定化させることを厭わないことである。
確実に太平洋への拡大を見せる中国
中国の太平洋進出はここ10年確実に拡大している(現在島嶼国10カ国が中国を承認、パラオ、マーシャル、ナウル、ツバルの4カ国のみが台湾を承認)。豪ローウィ研究所が発表した太平洋島嶼国への中国、米国、台湾からの支援比較データを見ると、中国の経済支援の拡大趨勢が歴然としている。
現在、島嶼国がこれら三支援者から受ける支援の中でほぼ全額が中国からの支援になっている国は、クック諸島、フィジー、キリバス(ここ数年ほぼ全額が中国からの支援になった)、パプアニューギニア(PNG)、サモア、ソロモン、トンガ、バヌアツ(ここ10年)、ミクロネシア(20年についてはほぼ全額)。台湾がほぼ全額を支援するのは、数年前までのキリバス。
ソロモンはここ数年までの長い間、台湾がほぼ全額支援してきたが、今は中国支援が圧倒的になっている。なおミクロネシアは、20年までは米国がほぼ全額を支援。今中国のターゲットになっているのはソロモン諸島、そして恐らく今後、未だ中国のプレゼンスが比較的低いバヌアツではないか。なおミクロネシアは中国を承認しているが、米軍による国土使用を許可した。また6 つの国が米国あるいはフランスと防衛取決めを結んでいる。
この1月中旬、トンガでは海底噴火が起き、その津波の影響は日本にまで及んだ。ニュージーランドが豪州と協力して、水道被害などの支援を計画しているとの報道があったが、日本や米国など、西側諸国が共同して災害支援をしながら、その後もフォロー・アップできないものかと考える。特に、トンガは王国であり、日本の皇室とも関わりが深い。天皇皇后両陛下は、トンガ王国を、皇太子同妃時代にご訪問されている。