その上で、ルービンは、今後の見通しについて、ロシアにおけるプーチン政権の終りにつながりうると論じている。ルービンの論旨には賛成できる。
ソ連の栄光は取り戻せない
ロシア人は、今ウクライナと戦争をすることを支持する気分にはないだろう。ウクライナとの戦争でロシア国民が愛国心を高揚させて、プーチンの支持率が大きく上がるというようなことは考えられない。
プーチンは何かを勘違いしているように思われる。小規模であっても、旧ソ連を復活させることは、歴史を書き換え、逆回転させることであって、昔の栄光を取り戻したいという、いわばノスタルジア政治であるが、そのようなことは起きないし、無理にそうする力は今のロシアにはない。プーチンが今の路線を突き進むとプーチン政権の崩壊に至る可能性もあるとのルービンその他の指摘は、その通りであろう。今度の危機は、まさに現実が見えなくなった独裁者の末期的な誤判断であると思われる。
プーチンの退場が早ければ早いほど、世界平和のためにも欧州の平和のためにも良い。今すぐにというわけではないが、キエフでのレジーム・チェンジより、モスクワでのレジ-ム・チェンジの可能性が、出てきたのではないだろうか。プーチン後の政権は、今の政権よりはましであろうから、それが出てきたときに日露関係の改善も考えたらよいだろう。