予想されたこととは言え、フェルナンデスは、アルゼンチン経済再建のために中国との提携に大きく舵を切ったわけであり、中国としては、昨年12月の中国・CELAC(ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体)外相会議で合意された協力枠組みが成果を上げたことになる。もっとも、プロジェクトなどの情報は、すべてアルゼンチン側の報道によるので、どこまで実現するのか疑問ではあるが、一帯一路参加覚書には、核心的利益の相互支持等政治条項も含まれているであろうから、中国が影響力を高めることは確実で、更に他に追随する国も出てくるであろう。
米国との関係にも大きく影響
米国は、これには当然愉快ではないであろう。IMF合意の詳細を詰める段階で、中国の一帯一路プロジェクトに制約となるような条件を主張する可能性もある。従って、アルゼンチンとしても今後、米国やEUとのバランスに配慮する必要もある。
フェルナンデスは、これを成果として、急進ペロン派と決裂し、IMF合意については中道右派との提携を模索しつつ、来年の大統領選挙再選に臨もうと考えているのかもしれない。いずれにせよ今後のIMF合意の具体的内容やアルゼンチン議会承認問題は、同国の内政、外交にも大きな影響をもたらすものとなるであろう。