2022年6月30日(木)

Wedge SPECIAL REPORT

2022年3月3日

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片野 歩 (かたの・あゆむ)

水産会社社員

東京生まれ。早稲田大学卒。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。1990年より、最前線で北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国として成長を続けているノルウェーには、20年以上、毎年訪問を続け、日本の水産業との違いを目の当たりにしてきた。著書に『日本の水産資源管理』(慶應義塾大学出版会) 『日本の漁業が崩壊する本当の理由』『魚はどこに消えた?』(ともにウェッジ)、『日本の水産業は復活できる!』(日本経済新聞出版社)、「ノルウェーの水産資源管理改革」(八田達夫・髙田眞著、『日本の農林水産業』<日本経済新聞出版社>所収)。

 Terminology 
持続可能な漁業の専門用語集

IQ (Individual Quota:個別割当制度)
TACを各漁業者に配分し、その年に漁獲可能な枠を設定する制度

漁獲量を増やすことによる利益より、限られた漁獲枠の中で魚の品質向上やコスト削減などにより利益を生みつつ、漁獲量を抑制し、水産資源を持続可能にすることを目指す。枠の譲渡はできない。
ITQ (Individual Transferable Quota:譲渡可能個別割当制度)
個人に割り振られた漁獲枠の売買を容認する制度

アイスランドやニュージーランドなどで実施されている。漁獲枠をまとめれば効率化し収益性を高めることができる。枠の所持率に上限を設ければ寡占化は防げる。
IVQ (Individual Vessel Quota:漁船別個別割当制度)
漁獲枠を漁業者ごとではなく漁船ごとに割り振る制度

ノルウェーなどで実施されている。漁獲枠を追加で手に入れるには漁船ごと購入する必要がある。
MSY (Maximum Sustainable Yield:最大持続生産量)
獲りすぎで魚を減らすことなく、長期的に漁獲し続けられる漁獲量の最大値

親魚が少なすぎては産まれてくる魚は増えず、魚が多すぎても餌などが足りなくなるため増えない。増加分だけを獲り続ければ減らない。資源量を、多すぎず少なすぎない、自然に増加する最大値(=MSY)に固定すれば、持続的に最大の漁獲を得られる。日本近海の主要な魚の資源量はMSYを大幅に下回っており、SDGsではMSYの水準まで資源量を回復させることが求められている。
ABC (Allowable Biological Catch:生物学的許容漁獲量)
科学的根拠に基づいて決定する、持続的に水産資源を利用できる漁獲量

日本では国立研究開発法人水産研究・教育機構などが行った水産資源の調査などを考慮し決定する。国連海洋法条約では、ABC算定の際にMSYを実現すべきと謳われている。
TAC (Total Allowable Catch:漁獲可能量)
ABCに基づき算出される、その年に漁獲可能な総量

漁業を持続可能にするためにはTACがABCと等しいかそれ以下である必要があるが、日本ではサンマやマアジ、サバ類、スルメイカなどで実際の漁獲量よりTACが大きすぎて、効果がほぼない。
 

 『Wedge』2022年3月号で「魚も漁師も消えゆく日本 復活の方法はこれしかない」を特集しております。
 四方を海に囲まれ、好漁場にも恵まれた日本。かつては、世界に冠たる水産大国だった。しかし日本の食卓を彩った魚は不漁が相次いでいる。魚の資源量が減少し続けているからだ。2020年12月、70年ぶりに漁業法が改正され、日本の漁業は「持続可能」を目指すべく舵を切ったかに見える。だが、日本の海が抱える問題は多い。突破口はあるのか。
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Wedge 2022年3月号より
魚も漁師も消えゆく日本
魚も漁師も消えゆく日本

四方を海に囲まれ、好漁場にも恵まれた日本。かつては、世界に冠たる水産大国だった。しかし日本の食卓を彩った魚は不漁が相次いでいる。魚の資源量が減少し続けているからだ。2020年12月、70年ぶりに漁業法が改正され、日本の漁業は「持続可能」を目指すべく舵を切ったかに見える。だが、日本の海が抱える問題は多い。突破口はあるのか

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