ロシアによるウクライナ侵攻が全世界の注目を集めている。国際社会がロシアへの批判を強めるなか、数少ないロシア擁護の筆頭と目されているのが中国だ。
ロシア通信社スプートニクによると、ロシア外務省のマリア・ザハロワ情報局長は2月28日、ロシア・テレビ局「ロシア1」の番組で、「世界にはロシアの友好国はあるのか?」との質問に対し、「もちろんいる。特に中国だ」と回答した。

名指しで熱烈なラブコールが送られてきた中国だが、ロシアにいいように振りまわされているとの見方も強い。ロシア軍の侵攻前から主要国はウクライナ在住者に離脱するよう勧告していたが、中国の対応は遅れに遅れ、6000人もの中国人がウクライナに取り残されているという。もし犠牲者が出た場合、中国人民から外交的無能を指弾する声が上がるのは免れられないだろう。
中国外交は苦しい立場に
米紙ニューヨーク・タイムズによると、米国は3カ月前から再三にわたり戦争の可能性を伝えていたというが、中国側は中露の離間を狙った米国の陰謀と取り合わなかったという。中国人待避の遅れも傍証となるが、結局のところ敵国である米国が正しい情報を伝え、友好国であるロシアからは真意を明かされていなかったのではないか。
それだけではない。プーチン大統領は北京冬季五輪開会式にあわせて中国を訪問し、習近平総書記と会談、共同声明を発表した。その中に以下の一節がある。
面倒な書き方だが、つまるところ、「NATOの拡大によってロシアの安全を損なっているのは西側諸国である」との主張であり、まさにウクライナ侵攻を正統化するロシアの論理である。