2022年10月5日(水)

デジタル時代の経営・安全保障学

2022年3月2日

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山崎文明 (やまさき・ふみあき)

情報安全保障研究所首席研究員

明治大学サイバー研究所客員研究員。元会津大学特任教授。1978年、神戸大学海事科学部卒業。損害保険会社を経て大手外資系会計監査法人でシステム監査に長年従事。システム監査、情報セキュリティー、個人情報保護に関する専門家として、政府関連委員会委員を歴任。

 ロシアのプーチン大統領は2022年2月24日、ウクライナに核兵器の使用をも匂わせながら「特別軍事作戦」を行うと表明し、ウクライナへの全面侵略を開始した。14年のクリミア危機と同様に武力による侵略と、情報戦やサイバー攻撃をともなうロシアが得意とするいわゆるハイブリッド戦という軍事戦略が用いられている。武力侵略と同時に、インターネットに虚偽の情報を大量に流す情報戦とサイバー攻撃が行われているのだ。

(Sergey Shulgin/gettyimages)

 虚偽の情報に対しては、米国が、外交・国防・情報・財務当局からなる混成部隊を立ち上げ、動画やニュースなどをチェックし、虚偽であることを暴いては、その情報を公開するという活動を行なっている。ただ、この活動は米国の情報収集能力を露呈する可能性があり、諸刃の剣となりかねない危うさが伴う。

インターネットを閉ざしたロシア

 一方のロシアだが、2月28日現在、ロシア政府機関のWebサイトは、ベラルーシ、カザフスタンなど一部の国を除いて、海外とのインターネット通信接続を遮断しているようだ。アクセスしようとすると「418」というエラーコードが返ってくる。

 このステータスコードは、「I’m a teapot」と呼ばれるコードで、「私はティーポットですので、コーヒーを入れることを拒否します」という意味で、通信を拒否するというステータスコードとして使用されている。ステータスコード「418」は、1998年4月1日のエイプリルフールのジョークとしてインターネットの通信規約に登録(RFC2324:Hyper Text Coffee Pot Control Protocol)されたものだ。

 ロシアは、2019年12月から20年4月までの間に、ロシアのインターネットサービスプロバイダー(ISP)に対して、海外のネットワークと切り離す実験を行うことを命じている。これは海外から、懲罰的措置としてネットワークを遮断されることを想定して行われたものだ。

 インターネットの通信は、IPアドレスを使用して行われている。私たちがWebサイトにアクセスする際には、Webサイトの住所をURLという人が認知しやすくした記号を使用しているが、実際の通信では、数字で示されたIPアドレスが目的のWebサイトの番地として用いられている。

 このURLをIPアドレスに変換する役目を果たしているのがDNSというサーバーの役割だ。DNSを誤作動させたり、停止させればインターネット通信は、完全に麻痺してしまう。

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