「今日のウクライナは明日の台湾」――。
ロシア軍のウクライナ全面侵攻後、台湾メディアにこの言葉が踊り始めた。2019年の「今日の香港は」、21年の「今日のアフガニスタンは」に続いて「明日の台湾」シリーズは3回目だが、「香港」を除くと、どちらもいざとなれば見捨てる米国に対し不信感を示すもの。今後、台湾で「対米懐疑論」が広がる恐れがある。
飛び交う欧米の対応に関する分析
台湾の各メディアは、開戦前から、外交的解決や経済制裁を言うのみで、軍事的行動が伴わない欧米の姿勢に疑問の声を挙げていた。主要紙のうち台湾独立派の自由時報は23日、「不吉な兆し」と題する社説で「西側の約束は、肝心の時にはあやふやになる」と指摘。台湾有事でも米バイデン政権が十分な支援を行わない可能性に言及した。
傘下の英字紙も23日、ウクライナ危機が「台湾有事の前触れ」であり「両岸(中台)ともに、西側の対応を注意深く見守っている」と書いた。
一方、中国統一派の「中国時報」は24日、西側が軍事行動に踏み切らないことは「米国の国力衰退」の表れで「もう元に戻ることはない」とする評論家・沈迺訓氏の投稿を掲載。「統一に向けた中国の決意を見くびらない一方、米国など国際社会が台湾を支援することに、過度な期待を抱かない」よう呼びかけた。