2024年7月17日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年5月13日

 勿論合意文書は明らかにされていない。われわれが知り得るのは、3月末に漏洩されたテキストだけである。忍び足で相手にわからないようにし、一挙に既成事実を作る中国のやり方には、十分に注意する必要があろう。ソロモンのソガバレ首相は、来年、選挙をしなければならないが、この点も注視する必要がある。

日本の外交姿勢による貢献の可能性も

 米国のキャンベルは、クリテンブリンク国務次官補とともに、予定通りソロモンを訪問し、22日にソガバレ首相と会談し、中国軍の駐留や軍事施設建設に向けた動きがあれば、「相応の対応を取る」と強く警告したという。

 米国側は会談で「安全保障協定には目的や意図、透明性に懸念がある」と指摘し、ソガバレは「(中国の)軍事基地建設や長期的な軍の駐留はあり得ない」と改めて説明したが、米国は「地域のパートナー国と協調しながら、今後の推移を注視する」と強調し、米国はソロモン諸島での大使館開設を繰り上げ、病院船の派遣による公衆衛生支援や海洋安全保障協力などを進める方針も示したという。米国の強い立場が相手に正しく理解されたことを期待したい。

 豪州、ニュージーランド、島嶼国と日米両国が、本気で緊密に連携、協力していくことが重要である。4月18日の日米豪NZの4カ国会合も良かった。島嶼国との関係はオーバーキルにやれば逆効果になる。外交と軍事を旨く調整していく必要がある。日本の柔らかな外交は良い貢献になるのではないか。

 4月25~27日に、上杉謙太郎外務大臣政務官が、自衛隊機でソロモン諸島を訪問した。日本の懸念を伝えると言う。また、5月には林芳正外相がパラオを訪問する計画と言われる。

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