2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年2月11日

 1月21日付のASPI(豪戦略政策研究所)Strategistで、元豪州国防省戦略担当副長官のピーター・ジェニングスが、AUKUS(豪英米軍事同盟) による豪州の原潜調達がうまく行かない可能性がある、その場合の代替案としてB-21長距離爆撃機の調達を検討すべきだと述べている。

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 ジェニングスは、元米国防次官補のシュライバーが「両国の政治指導者の持続的なコミットメントが必要であり、それがなくなれば豪州の原潜展開の可能性は50%以下になる」と述べたことを紹介し、①原潜計画が旨く行かない場合に備えプランB(代替案)が必要だ、②B-21(最新長距離爆撃機)の調達を検討すべきだと主張する。

 B-21は高い柔軟性、早い補充性等の利点を有するという。しかし、B-21も最新技術を使用しており、米国の技術供与同意はジェニングスが前提にするほど簡単ではないであろう。

 大きな驚きはない。昨年9月15日、AUKUSは良い意図をもって作られ、豪州が英国または米国製造の原潜8隻を購入、運用することに合意したが、契約済みの仏通常推進潜水艦購入計画を破棄し、米国の同盟国であるフランスを激怒させた。

 更に原潜の技術移転や必要なインフラ整備、人員の訓練、財政負担、就役予定、運用方針など莫大な問題が残っており、全体としてやや拙速に進められた感は免れなかった。国際原子力機関(IAEA)のセーフガード適用も厄介な問題として残っている。更にジェニングスが指摘する米国海軍の反対や米豪英3カ国の指導者交替などは、原潜の成否に大いに関係するであろう。

 インド太平洋の戦略情勢に大きな影響を与えるこのプロジェクトの進捗を注意深くフォローしていく必要がある。


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