「自分を殺した犯人に全財産を渡す」という栄治の遺言。そして、元カノたちには、不動産などが分配される。麗子には、栄治がオーナーだった、殺された弁護士・村山のちっぽけな事務所が残された。ビルの1階にある、古本屋のなかの階段を使わないと、2階の事務所にいけないという代物だ。
そもそも、麗子の相棒に篠田がなったのは、栄治が残した簡単な暗号だった。「シノダヲタノム」と。
光る若手俳優の成長ぶり
ドラマは、元カレの遺言の秘密に迫りながらも、1話完結シリーズの形で、麗子と篠田が手掛ける殺人事件が毎回取り上げられる。
助手役の篠田に加えて、殺人容疑から救ってもらい、情報屋を務める、ホストの黒丑益也役の望月歩。麗子の事務所にやってきては、高級肉を差し入れする、栄治に思いを寄せた紗英役の関水渚。ふたりの若手俳優の成長ぶりもまた、ドラマのお楽しみのひとつである。
望月は『ソロモンの偽証』(2015年、成島出監督)でデビュー。関水は「コンフィデンスマンJPプリンセス編」で詐欺の手助けをする「子猫ちゃん」役から飛躍のチャンスをつかんだ。
第4回(5月2日)は、ミステリー作家・秦野廉(宮田早苗)が、13年ぶりの新作「胡桃沢啓二シリーズ」の発表記者会見で、「わたしは殺人を犯しました」と告げた。死体がある住所も明らかにした。
実は、秦野は、新作の原稿を家政婦の清宮加奈子(中島亜梨沙)に預けていた。
そのアパートの一室には、加奈子の夫がドアのノブに首をくくった形で発見された。これは、秦野の新作と同じ犯行だった。DVに苦しむ妻が、夫に大好物の最中にあらかじめ睡眠薬を入れて、眠らせ、首にひもを巻いて、背中に背負って自殺にみせかける「地蔵背負い」という殺人方法だった。
加奈子が、警察に出頭して、自分が犯人だと自供する。2人の犯人-アガサ・クリスティーの『牧師館の殺人』そのものだ、と篠田は麗子に告げる。
麗子は、加奈子が誰かをかばっている、と推測する。加奈子の娘の希(白鳥玉季)ではないか。麗子の事務所を訪れた、希も「わたしがやった。これから、警察に行く。胡桃沢刑事みたいな優しい刑事さんだったらいいな」と。