2024年12月23日(月)

田部康喜のTV読本

2022年1月13日

 「アームチェア・ディテクティブ」とは、犯罪現場には向かわずに助手や関係者の情報を聞き取って、犯人を言い当てる。安楽椅子探偵ともいわれるが、必ずしも動かないわけではない。シャーロック・ホームズの神出鬼没が探偵ぶりからもうかがえる。名探偵・ポアロもそうかもしれない。

 最後のシーンで、犯罪にからむ複雑な人間関係をときほぐして、犯人を言い当てる。観るものは、探偵と一緒になって謎解きをする喜びを見いだす。

(Deklofenak/gettyimages)

 「ミステリと言う勿れ」(フジテレビ・毎週月曜よる9時)は、主人公の天才推理大学生の久野整(くのう・ととのう)役に菅田将暉を配した、これまでにない異色のミステリである。題名は「言う勿れ」と誇り高い。原作は、田村由美の同名のコミックである。「言う勿れ」のフレーズがしゃれている。

汚名を着せられてからの謎解き

 第1回「episode.1」(1月10日)では、整は住んでいるアパート近くの公園で刺殺された、大学生殺人事件の容疑者として、大隣警察署の強行犯一係の取調室の椅子に座らせる。とんだ「アームチェア」である。

 事件の前後に整を公園で見たという証言が現れる。近くのアパートのゴミ捨て場から、コンビニの袋に包まれた、整の果物ナイフが発見される。ナイフの血液は、殺された大学生のものと一致した。コンビニの袋にも、ナイフにも整の指紋がついていた。PCからは、署名捺印はしていないものの、殺された大学生から借金をしようとしてた証文もでてきた。

 そして、殺された大学生と整は、親しくはなかったものの、高校と大学が一緒で顔見知りであった。整がその大学生を避けたのは、金持ちや親せきに政治家がいたり、高校時代から高級自動車を乗り回したりしていたのになじめなかったのである。


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