2024年7月16日(火)

2024年米大統領選挙への道

2022年5月10日

Q5 ロシアによるウクライナ侵略は11月8日の中間選挙にどのような影響を及ぼすのか?

 A5 連日ウクライナにおける残忍な戦争の映像が発信されている。ただロイターと多国籍市場調査コンサルティング会社イプソスによる共同世論調査(22年4月25~26日実施)によれば、「米国民が今直面している最も重要な問題は何ですか」という質問に対して、26%が経済、11%が気候変動、8%が犯罪と移民問題、7%が医療保険と回答した。戦争は僅か6%であった。共和党支持者は33%が経済、16%が移民問題、8%が犯罪と答えた。戦争は全体と同じ6%であった。今回の中間選挙で共和党候補はロシアによるウクライナ侵略よりも、経済、移民問題および犯罪等の国内問題に焦点を当てて戦うことが予想される。

 米ワシントン・ポスト紙とABCニュースの共同世論調査(同年4月24~28日実施)では、バイデン氏のインフレ対策に対する支持率は28%であり、物価高騰が続けば中間選挙において高インフレが民主党に対する主たる攻撃材料になることは間違いない。

 共和党がロシアによるウクライナ侵略を中間選挙の争点の中心に置いていないもう1つの理由を紹介しよう。共和党全国上院委員会で議長を務めるリック・スコット上院議員(南部フロリダ州)は、中間選挙に向けて「ウルトラ-マガ・アジェンダ」を発表した。マガ(MAGA:Make America Great Again米国を再び偉大にする)はドナルド・トランプ前大統領のスローガンである。

 トランプ氏から支持を得た共和党候補はこのウルトラ-マガ・アジェンダに基づいて中間選挙を戦うことになる。スコット上院議員はウルトラ-マガ・アジェンダにおいて米国を救済するための「11のポイントプラン」を挙げた。11のポイントプランには、①教育、②平等、③安全と犯罪、④移民問題、⑤成長と経済、⑥政府改革と債務、⑦不正のない選挙、⑧家族、⑨ジェンダー、生命、科学、⑩宗教の自由と巨大テクノロジー企業、⑪米国第一主義(アメリカ・ファースト)が含まれている。

 ロシアによるウクライナ侵略や「民主主義対専制主義」は11の項目にリストされていないのだ。ウルトラ-マガ・アジェンダからも共和党が中間選挙でロシアによるウクライナ侵略よりも国内問題を重視していることが分かる。

Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る