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都市vs地方 

2022年5月30日

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吉田浩 (よしだ・ひろし)

東北大学大学院 経済学研究科教授

高齢経済社会研究センター長。1995年一橋大学大学院博士課程満期退学、97年東北大学大学院経済学研究科助教授、2007年より現職。会計検査院第9代特別研究官、経済企画庁経済審議会特別委員も歴任した。著書に『男女共同参画による日本社会の経済・経営・地域活性化戦略』(河北新報出版センター)、『厚生労働統計で知る東日本大震災の実状』(統計研究会)など。

高齢者にとっての優先事項は健康

 内閣府の報告書では、幸福の3本柱として「経済社会状況、心身の健康、関係性」があげられているが、年齢や性別によってその3つの要素のどれを重視するかに関しては優先順序が異なると考えられる。

 例えば子育て世代と退職後高齢世代では幸福で重視する項目は当然に異なりうる。図2は、内閣府報告書による年代別、性別の幸福度を判断する際に重視する項目のベスト5である。

(出所)『幸福度に関する研究会報告―幸福度指標試案―』内閣府経済社会総合研究所(2011, p.10) 図表 5 写真を拡大

 図2を見ると、年代別、性別に幸福度を考えるうえで優先して重視される項目に違いがあることがわかる。比較的若い年代では家族や家計といった項目の優先度が高いのに比して、女性では40歳世代以降、男性でも55歳世代以降で「健康」が第1位に挙げられている。ここから、高齢にとっての幸福を考えるうえで、健康は極めて重要な要素であることが明らかになった。

寿命から健康を考える

 健康が高齢者にとって幸福を考えるうえで重要なファクターであることが分かったところで、この健康を都道府県間で定量的に比較する指標を考えよう。健康の反対は病気であるとすると、その先には死亡が待ちうけているといえる。このように考えると、健康であれば長生きできる、すなわち寿命が長いということが考えられる。

 そこで、以下では都道府県別の平均寿命を確認することとした。表1には、平均寿命が長い10地域と逆に短い10地域を男女別にリストアップしてある。

 

 表1を見ると、上位と下位に位置する地域は男女で異なる場合があるが、重なる地域も少なくない。平均寿命が長い地域を見ると、男女ともにベスト10にリストされているのは滋賀県、長野県、京都府、福井県、熊本県、広島県と過半の6県である。男性のランキングをよく見ると、京都、神奈川、愛知などの比較的大都市の含まれる地域がみられ、女性の場合は島根、沖縄、富山など比較的地方がみられる。

 また、寿命が短い方のリストを見ると、男性では大阪府を除いて地方圏が多くランクされているのに対し、女性では大阪府、埼玉県、茨城県など大都市と東京近郊の県が含まれていることがわかる。このほか、平均寿命が短い県には、青森県、秋田県、岩手県、福島県と東北地方の6県のうち4県が含まれ、特に青森県は男女とも平均寿命が短いという結果になっている。

 これらのことから大胆にまとめてしまうと、男性は都会で長寿、女性は逆に地方で長寿、東北地方は男女とも長寿ではないことが見て取れる。

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