2024年12月5日(木)

ニュースから学ぶ人口学

2022年5月2日

 2020年から2年間、コロナ禍による死亡率の大きな上昇は避けられた。しかしさまざまな側面で人口は影響を受けている。結婚件数は減少し、生み控えで出生数は将来予測を大きく下回った。

(Boonyachoat/gettyimages)

 人口移動にも影響がでている。緊急事態宣言が発令され、まん延防止等重点措置が繰り返し発出された結果、日本人の出国も外国人の来日も制限されて、国際人口移動は大幅に縮小した。リモートワーク、遠隔授業によって日々の通勤、通学が減少し、出張や旅行も自粛されて交通量が減少した。

 進学、就職、転勤、転居に伴う市町村間の移動はどうか。2021年の日本人の都道府県内および都道府県間の市町村間移動者総数は482万人、外国人を含む総数は525万人だった。過去5年、漸減しているが大きな変化は見られない(図1)。その規模は高度経済成長が始まった頃の1956年の水準で、ピークの73年(日本人854万人)の6割以下まで縮小している。

 人口に対する移動者数の割合も7.8%から3.8%へと半減した。人口の流動化が低下しているものの、急激な変化とは言えない。

 ただし2020年以後、人口移動の内容に変化はあった。それは非大都市圏から三大都市圏への流入が目立って減ったことである。19年に13万人あった三大都市圏の転入超過数は20年に8.5万人、21年には6.4万人と半減している。コロナ禍によって大都市圏の転入超過、非大都市圏からの人口流出が縮小しているのだ(図2)。

 大都市圏への人口集中が弱まり、地方圏への人口回帰が進むなら、地方創生の目的の一つが達成されるように見える。しかし喜ぶのは早い。第1にこれまでも大都市圏への転入超過が落ち込んだ時期が何度かあったこと、第2に非大都市圏からの女性の転出超過が緩和されているかという問題がある。


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