2022年11月29日(火)

都市vs地方 

2022年6月5日

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佐藤泰裕 (さとう・やすひろ)

東京大学大学院経済学研究科教授

大分県別府市出身。1996年東京大学経済学部卒業。2002年東京大学大学院経済学研究科博士(経済学)。名古屋大学大学院環境学研究科准教授、大阪大学大学院経済学研究科准教授等を経て18年より現職。

若い世代は何のために東京に来るのか

 先に紹介したニュースで、転入の多くが20代前半であったことが紹介されていたように、一般に地域間の人口移動は高校や大学の卒業から数年間が多くなり、この傾向は男女問わずみられる。実際、15年住民基本台帳人口移動報告の東京都への転入者数および転出者数を男女別年齢階級別にみると、図3のようになっている。

 これをみると、まず、男女ともに20代前半が転入者数の、20代後半が転出者数のピークになっている。さらに、男性の方が転出者数、転入者数とも多くなっているものの、転入転出の差である転入超過数では女性の方が多くなっている。

 転入超過数が多いのは男女ともに10代後半から20代にかけてであるため、高校や大学を卒業した後の進学、就職、若い間のキャリア形成の時期であると言える。また、男女の差が顕著なのが20代前半であり、10代後半、20代後半は男女ともに転入超過数は多いものの男女差は大きくない。

 この時期の移動の要因を細かく知ることはできないが、進学にかかわる移動を把握することはできる。文部科学省の学校基本調査は、出身高校の所在地別に、各都道府県にある大学、短大への入学者数を掲載している。そのため、大学、短大進学に伴う転入超過数を確認することが可能である。

 ただし、この数字は、あくまでも進学により移動したことを示しているにすぎず、必ずしも住民票を移したことを意味しない。住民票の移動を伴わない限り、先の住民基本台帳の人口移動には反映されないため、進学に伴う地域間移動だけは把握できるが、住民基本台帳の人口移動数からこの数字を差し引いて、進学以外の動機による地域間移動を求めることはできない。

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