2022年12月2日(金)

都市vs地方 

2022年6月5日

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佐藤泰裕 (さとう・やすひろ)

東京大学大学院経済学研究科教授

大分県別府市出身。1996年東京大学経済学部卒業。2002年東京大学大学院経済学研究科博士(経済学)。名古屋大学大学院環境学研究科准教授、大阪大学大学院経済学研究科准教授等を経て18年より現職。

 15年の東京都への進学に伴う移動をみたのが図4である。大学進学に伴う東京都への転入超過数は男性の方が女性よりも多く、短大進学に伴う東京都への転入超過数は女性の方が多いものの、全体では男性の方が多いことが確認できる。

 

 したがって、大学や短大への進学という理由で女性の東京志向が強いことは確認されない。男女差が顕著な20代前半が大学や短大などの卒業および就職時期であることを考え合わせると、職にかかわる移動が男女差を生み出している可能性が高い。

東京に限らない女性の大都市志向

 もし職にかかわる移動が男女差の主要因であるならば、東京に限らず、職が多くある大都市への移動全体にこうした男女差がみられるはずである。実際、19年の住民基本台帳人口移動報告で大都市を抱える都道府県への転入超過数を男女で比較すると、大阪府や福岡県などで女性の転入超過数が男性のそれより多くなっている。

 図5は福岡県の転入超過数を男女別に描いたグラフである。これをみると、女性の転入超過数が多い傾向がここ10年ほど続いている。

 

 一方で、愛知県や宮城県は男性の転入超過数の方が多くなっているが、これらの県は、東京圏や大阪圏に対して転出超過になっていて、その転出超過が女性の方が多くなっている。そのため、周辺からは女性が多く流入しているものの、東京や大阪に女性が多く流出しており、差し引きでは女性の転入超過が少なくなっているのである。このように、近年、日本全体として、女性が大都市を抱える都道府県に引き付けられる傾向が生じていると考えられる。

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