「中国の男性は家事もしてくれるし、女性に優しい人が多いから、中国の女性はそれが当たり前だと思っているのです。文化を超えての結婚生活は、大変なことです」。
私の友人で、日本国内にある中国系企業に勤める中国人女性は、日本人の夫のために母国の女性たちならするはずのない料理を毎日のようにしている。
中国では、女性が強く、意見もはっきり述べる。しかも、共働き世帯ばかりだから、家庭内の仕事は男女平等。料理についていえば、むしろ夫がするのが当たり前だ。男性人口が女性人口を上回るため、中国では男性の生涯未婚率が高い。女性にふられないようにと、一生懸命に料理や洗濯や掃除などをやる男性が多いそうだ。
それでも、私の友人は日本の文化にあわせてわざわざやっている。「家事については夫に自分でするようになんとか仕向けているのですが」とも答えるが。
国際結婚による夫婦生活が長い知人からは、「理解できないところを無理にわかり合おうとするたびに、ひずみが生まれる」と聞かされたことがある。
日本では、「阿吽の呼吸」なる独特の文化があるが、これを外国人が理解することは到底、困難。それをわかった上で付き合っていくことが、長く結婚生活を続ける秘訣なのだそうだ。神経質なタイプは国際結婚に行き詰ってしまうかもしれない。国際結婚とは立ちはだかる文化の壁をどう乗り越えるかの連続なのであろう。
30人に1人がハーフの時代
厚生労働省がまとめた2012年の人口動態統計によると、死亡数から出生数を引いた日本の人口の自然減は21万2千人で過去最大。人口減少に歯止めがかからない。その一方で、国際結婚は増加の一途を遂げ、夫婦のあいだに生まれるハーフの数も上昇している。2006年に生まれた新生児110万4862人のうち「両親のどちらかが外国人」の新生児は3万5651人で全体の3.2%。つまり、いまや30人に1人の子供の親のいずれかが外国人だということになる。
父親が日本人の場合、母親はアジア系であるケースが多く、この場合、妻の国籍1位は中国人、2位がフィリピン人、3位が韓国・北朝鮮である。新生児150人に1人が日本人と中国人のハーフというデータもある。
ハーフが増えることで、どのような問題が生じるのだろうか。たとえば、日中のハーフの場合を見てみよう。日中ハーフといっても、当然のことながらいろいろな人がいる。私の友人にも、日本の田舎で育ったために中国語を話さないハーフ、また、海外を転々とし、中国語、日本語、英語を流暢に話すハーフがいる。