このように現在の国際エネルギー情勢を俯瞰すると、中東にとってはマイナスとなるEUによる脱炭素化の推進と、中東にはプラスとなる、ウクライナ侵攻によるEUのロシア産エネルギー・ボイコットの動きが、混在した状態となっている。
中東諸国はいかなる生き残り策を講じるのか
依然、石油・天然ガスの輸出収入が政府歳入の多くを占める中東諸国にとって望ましいのは、世界の大半の諸国が各国の経済を推進するために石油・天然ガスを一定程度、長きにわたり消費し続けていくことである。
中東諸国の中でも、相対的に砂漠地帯など不毛な地域が多く、それゆえに自然の水資源にも恵まれず、しかも働き手となる人口も少ない、サウジアラビアをはじめとする、いわゆるペルシャ湾岸の「湾岸協力会議(GCC)産油国」にとっては、世界の脱炭素化の流れは最も好ましくないものである。
プラス材料とマイナス材料の混在する国際エネルギー情勢の中、サウジを中心とするGCC諸国が、今後、いかなる生き残り策を講じることになるのか。中東・湾岸ウオッチャーとして、引き続き注視していきたい。
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